第96話 ファティリタス復興編 【第1クール】 砂漠化の進む地域を目指して
――村を発ち南下中――
「ユウスケさん、次はどこを目指しますか?」
「ここから更に南に進んだ先にある、砂漠化の進んでる地域に行こう」
俺は司祭からもらった地図を広げ、アンリさんに見せる。
「砂漠化ですか?」
「30年程前まで、人間と魔族の長い争いがあって、そこが主戦場になったらしいんだ。その時の被害が甚大で、今は動植物の住めない土地になりつつあるらしい」
カイリさんとハンナさんから聞いた話をアンリさんに聞かせる。
「そんな……」
「まずは行ってみよう。――村で、役に立ちそうな物はある程度<ストレージ>に入れてきてる。どこまで酷いかにもよるけど……」
俺とアンリさんはそのまま街道を南下していった。
◆
――砂漠地帯――
「これは……想像以上だな」
「酷い……」
街道をある程度南下すると、見渡す限りの砂漠が広がっていた。
「地図を見ると、この先に森林の名残りがあるみたいなんだが……アレか?」
よく見ると、遠くに樹木らしきものがポツポツと立っているのが視える。
「今日はもう遅いですし、ここで野宿しませんか?」
「そうだな。この先には、明朝から入ろう」
俺とアンリさんはストレージから野営用品を出し、食事の準備やテントを整えていった。
◆
「人や動物の気配がしませんね……」
「そうだな。別の場所に移り住んだのか……それとも」
その先はあまり想像したくなかった。これだけ広いエリアの動植物が死滅したなんて、やはり想像するのも辛い。
「昔は緑あふれる森林だったらしいんだ。ハンナさんが寂しそうに言ってたよ」
「少しでも元の姿に戻したいですね」
俺とアンリさんは広がる砂漠を見ながら頷き合う。
「やれることをやろう。まずは現状確認だ。明日は、あの森林の跡地に行って、現地民がいたら、村の時みたいに協力を仰ごう。大丈夫、きっと上手くいく――というか、なんとかするよ」
「そうですね。復興に来た私達が諦めたらそこまでですもんね。――頑張りましょう」
――夜が更け、俺達はかわりばんこに睡眠を取るのだった。




