第95話 ファティリタス復興編 【第1クール】 毒の解決、そして別れ
――それからおよそ一月後・村――
「おーい! 魚捕ってきたぞぉ!」
村で過ごし始めておよそ一月が経った。井戸水はだんだんと元の水に戻り、今では元通りの透明に戻っている。やはり、あの<バイオスライム>が原因だった様だ。何はともあれ、解決してよかった。
それに、山にはモンスターがまた溢れていた。ゴブリンゾンビがいなくなって、怖い者が去ったからだろうか。山で山菜や魚をとるのに苦労する様にはなったが、これが元の生態系らしいし、よかったと思うことにしよう。
――ちなみに、RPの取得アナウンスもあった。
【アナウンス】加算対象行為は、<毒の発生源除去による山の生態系の回復>。村人達との協力によるボーナス点も加味し、RPを算出します。――算出結果、RPを300加算します。
一気に300点も加算された。前の村人達の毒の治療が75ptだったから、随分と大盤振る舞いだ。これでRPは計375ptになった。
◆
「あ、お帰りなさい! すぐにご飯にしますね!」
ハンナさん宅に帰ってきた俺は、川で捕った魚の入ったカゴを渡す。<ストレージ>に入れてもよかったんだけど、何となく身体を鍛えたくなったんだ。
この世界では、モンスターを倒すことでレベルが上がり筋力も増すようだが、カイリさんを見てると、見た目のカッコよさにもこだわりたくなったのだ。
「錬金術の素材も採ってきましたよ」
「ありがとう! いつも助かるわ」
家に入り、奥の錬金窯が置かれてる部屋で、ハンナさんに採ってきた素材を手渡す。
「ずっといて欲しいくらいだけど、そろそろ発つのよね……?」
ハンナさんが残念そうに俺に聞いてくる。
「そうですね。無事、毒も解毒出来た様ですし、他に困ったところが無いか、別の地方を見て回ろうかと思います」
――そう。自分達――第1校――の担当エリアは南全般。他の地域も見て回らないとな。
「私も付いて行きたいけど、この村での仕事もあるし……」
「気にしないで下さい。ハンナさんがいなくなると、みんな困っちゃいますよ」
「そうですよ! また遊びに来ますね!」
名残り惜しいが、明日、俺達は村を発つ。
俺とアンリさんは、村での最後の夜を、カイリさんも呼んで4人でわいわい語り合い明かした。
◆
――翌日・村の入口――
「では、皆さんお達者で!」
「ありがとうございました!」
「あなた達は村の救世主です。いつでもまた寄ってくだされ」
「ユウスケさん、アンリさん! またね!」
「二人とも元気でな! 困ったことがあったら助けに行くから呼べよ!」
村人達やハンナさん、カイリさんに見送られ、俺達は南を目指して村を発つ。
――次はどんな出会いがあるのだろうか。期待と不安を胸に、俺とアンリさんは旅をする。
【現在のパーティ】 RP累計 375
ユウスケ レベル 9 タンク 戦士(剣、盾)
アンリ レベル 8 ヒーラー 白魔術師(杖)
<離脱>
カイリ レベル 10 アタッカー 槍術士(槍)
ハンナ レベル 9 アタッカー 錬金術師(錬金アイテム)




