第94話 ファティリタス復興編 【第1クール】 村への帰還
――洞窟・入口――
「あ、皆さん! 無事に泉の解毒は済みましたか?」
「おうよ! 今日はこんなところだな。残りの奴らと合流して、村に戻ろう」
見張りをしていた村人のパーティが洞窟の入口に待機していたので、合流する。後は、残りのもう1パーティと合流して村に帰るだけだ。
「その<バイオスライム>が毒の原因だったんですか?」
「まだ分からないけど、ハンナさんが言うにはこの辺りにはいないモンスターらしいし、その可能性はあるな。しばらく様子を見てみるしかないけどね」
村人も見たかったのだろう。「見ない方がいいですよ、トラウマになりますよ。あんなの……」とアンリさんが青い顔で伝えても、「え~!? そんなに凄かったんですかぁ?」と逆に興味津々で聞いてくるくらいだった。
◆
――滝つぼの川辺――
「あ、いたぞ」
残りのパーティは滝つぼの川辺で見つかった。スタート地点じゃねぇか。村人達もこちらに気付き、どことなく気まずそうな視線を向けている。
「実は、アイテムが早々に尽きてしまいまして……」
各パーティで分け合ってもってた、錬金術で作成したアイテム――その中で攻撃用の<フレアボム>――を早々に使い切ってしまったようだ。それで怖くなって、帰り道に皆が通る、この川辺に戻ってきたと……
「『使い時は考えて』と言ったと思うけど……とにかく、あなた達が無事でよかったわ。よく頑張ったわね!」
「は、ハンナさぁん……」
ヒーラー役の女の子がハンナさんに泣きつく。……よっぽど怖かったのだろう。そうだよな。ゾンビモンスターなんて見たくも無いよな、普通。
――俺達は誰一人も欠けることなく、皆で下山する。
◆
――下山中――
「そう言えば、何でゴブリンはゾンビ化したんですかね? やっぱりあの毒ですか?」
俺はふと気になったのでカイリさんとハンナさんに聞いてみる。
「死因はそうだろうけど、ゾンビ化したのは別に毒のせいじゃないと思うぞ?」
カイリさんの返答にハンナさんも頷く。
「どういうことですか?」
はてな顔のアンリさんと俺に二人が説明してくれる。
「あなた達のいた世界ではどうったかわからないけど、こっちでは、死後に死体をそのまま放置すると、アンデッド化するのよ」
「かつていた魔族の王――魔王――の呪いとも言われてるけどな」
なるほど……ん? でも……
「魔王って、30年程前に勇者達に倒されたんじゃなかったでしたっけ?」
アンリさんも同調する。
「まだ生きてるんでしょうか?」
「わからねぇ。倒されたとは聞いてるけど、直接見た訳じゃねぇしな」
「“新しい魔王”が誕生するってこともあるしね」
ハンナさんがさらっと怖いことを言う。
「可能性の一つだけどね。――前の戦いで生態系も乱れたみたいだし、もしくはその影響だったのかもしれないわ」
あの場でもハンナさんが言ってたが、あの<バイオスライム>はここで見たことの無いモンスターらしい。他所から来て洞窟に住み着いたってことなんだろうか。30年経って今頃っていうのもわからないけどな。
「何はともあれ、しばらくは様子を見るか。――皆も疲れてるみたいだし、早く帰ろう」
カイリさんが村人達を横目で見ながら言う。そうだな。ともかく今日はここまでだ。
――俺達は、そうして村に戻って行った。
◆
――村・集会所――
「本当にありがとうございました」
「頭を上げて下さい。まだ解決したかもわかりませんので……」
前に村人達の毒の治療をした時の様に、俺とアンリさんは村人達から頭を下げられる。でも俺が今言った通り、まだ解決したかもわからないのだ。
「お二人は、これからどうされますか?」
「毒の解決を見届けたいので、しばらくはこの村に留まらせてもらおうかと。――いいでしょうか?」
「もちろんよ! 私の家に泊まるといいわ」
ハンナさんが俺とアンリさんを泊めてくれると申し出てくれた。
「すみません、ありがとうございます」
「ハンナさん、ありがとうございます」
「いいのよ。錬金術なら教えられるから、よかったら覚えていって」
「俺も、この世界での生活の知恵みたいなのは持ってるから、山とかに行く時は声を掛けてくれ」
ハンナさんとカイリさんが親切にも申し出てくれる。至れり尽くせりで本当にありがたい。
「それでは遠慮なく……お願いします!」
「もっと錬金術とか、山で採れる山菜とか知りたいですね!」
俺とアンリさんは二人のご厚意に甘え、二人に師事することに。
――そうして、俺達は村でしばらくの時を過ごした。




