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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ファティリタス復興>編 【第1クール】
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第83話 ファティリタス復興編 【第1クール】 山探索

――山道――



「モンスター、出ませんね」

 俺達一行は村近くの山を登り始めたが、モンスターと遭遇しない。こんなものなんだろうか?


「いつもはこの辺りにも弱いモンスターはいるのでですが……変ですね」

「昨夜の集会でも、モンスターが村に降りてこないって言ってた奴がいたしな。どうやら本当にいないみたいだ」


 ハンナさんとカイリさんが答える。――そしてまたしばらく登っていくと、


「何か(にお)いませんか?」

「……ユウスケさん、お腹の具合でも悪いんですか?」

「違う! 俺はオナラなんてしてないぞ!」


 アンリさんが鼻を手でつまみ、顔をしかめる。そんなアンリさんの背をさすりながら、ハンナさんが先を歩く俺を非難がましい目で見てくる。


 失敬な! 俺は、オナラなど断じてしてない! ……はずだ。


「いや、確かに生臭いが、これは……腐臭だ」

 カイリさんが匂いの元を探り、風上――上の方の草むらに足を運ぶ。


「こりゃあ酷い……」

 カイリさんが思わずといったようにつぶやきを漏らし、俺とアンリさん、ハンナさんが追いついて()()を見る。


「う、うぉ!」

「うぷ……」

「……」


 俺が後ずさり、アンリさんが口元を抑える。ハンナさんは黙って不快そうに眉根を寄せていた。



――草むらの中には、大量のモンスターの腐った死骸があった。



「何でこんなにたくさん、モンスターの死骸が……」

「わからないな……あまり触りたくもねぇが、これは異常だな」


 俺とカイリさん――男でも引くレベルの量だった。女性陣はもっと辛いだろう。アンリさん、ハンナさんの顔がどこか青褪(あおざ)めている。

 

「まぁ、調べない訳にもいかないですし、ちょっと見てみます……」

「俺もやるぜ……」

「き、気を付けてくださいね」


 心配そうなアンリさんに(うなず)き返し、俺とカイリさんはモンスターの死骸を調べ始めた。



「う~ん……特に、これといった外傷は無さそうだけど……」

 俺は、ハエがたかり蛆虫のわいているモンスターの死骸を調べる。正直しんどい……


「死んでからそんなに時間は経って無さそうだな。腐敗の進み方からして」

 カイリさんも死体をひっくり返したりしながら調べている。


「井戸水に毒が入ってたように、毒が原因じゃないでしょうか?」

 アンリさんも少し慣れてきたのか、近づいて死骸を見ながら言う。


「確かにその可能性もあるけど、この辺に毒になりそうなものは見当たらないな……」

 周りを見回しても特に怪しいものは無い。


「もっと先にあるのかもしれませんね。行きましょうか」

 ハンナさんの提案に(うなず)き返し、俺達はまた登山を再開した。



「ん? あの辺、ちょっと気になるな」


 カイリさんが山道をそれ、丈の低い草をかき分け、立ち並ぶ木々を避けながらながら進む。俺達もカイリさんについて行った。――しばらく行くと、


「川ですね」

 開けた場所に出た先には、川があった。


「あ! あそこ、見てください!」

 アンリさんが指差す先を見ると、川の一部が紫色になっていた。どうやら上流から流れてきているようだ。


「井戸水の時と同じですね……毒でしょうか?」

「どうやらこの先に答えがありそうだな」

 俺もハンナさんとカイリさんの言う通りに思う。


「上流に行ってみましょう」

 俺達は、原因を確かめに上流へと歩み進むのだった。


――滝つぼ――



「滝、ですね」

 たどり着いた先は滝つぼだった。崖の上から勢いよく滝が下に流れ込んでいる。


「おい……あそこ!」

 カイリさんが驚きと共に指差す先には、



――巨大なモンスターの死骸が、川辺で水に浸っていた。 



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