第78話 ファティリタス復興編 【第1クール】 毒に汚染された村
――中央都市南門――
「じゃあ行こうか」
「はい。でもどこに向かいます?」
「俺達の担当エリアは南部だからこの先全部だな。……そう言えば、メニューの中にマップ機能は無いのかな?」
「探してみますね……ありました!」
アンリさんに教えてもらい、俺もマップを開いてみる。
「中央都市以外空白じゃねぇか……」
「これ、ダンジョンと同じように、自分で実際に行ったところが埋まっていくんじゃないですか?」
「たぶんそういうことなんだろうな……それなら、司教からもらったこの地図も役に立つな」
俺は司教からもらった地図を取り出して開く。おおざっぱな造りだが、山や川、村落などのロケーションが大まかに記されており、役に立ちそうだ。
「この先、街道沿いに南下していくと小さな村があるな。まずはそこに行ってみよう」
「二人しかいないですし、なるべく戦闘は避けたいですね」
――俺とアンリさんは、街道を南下していった。
◆
「できるだけ、道中の植物を回収して行きませんか?」
アンリさんの提案により、街道沿いに自生している植物を回収していく。
アイテムとして<しまう>と手元から消えてストレージに収納されるようになる。これにより荷物にならず、大量に持ち運べるのだ。
「便利な機能でよかったですね」
「ああ、まったくだ」
植物の説明欄を見ると、素材であるものが多かった。今後、調合とかの創作に使えるかもしれないから、大量に回収しておいて損は無いだろう。
そうこうしているうちに、目的の村が見えてきた。俺とアンリさんはそのまま村へと向かう。
◆
――村の入口――
村は物静かだった。住人が見当たらない。
「どうしたんでしょうか……?」
アンリさんが怪訝そうに首をかしげる。
「とりあえず、民家を訪ねてみよう」
コンコン
「ごめんくださーい! ……返事が無いな。いないのかな」
俺とアンリさんは次々と家を周ってドアをノックして行くが、返事が無い。
そして少し離れた大き目の家に向かう途中、
「大丈夫ですか!」
アンリさんが倒れた村人女性を発見し、身体を抱え起こす。
「……すごい熱です! ユウスケさん、家に運ぶのを手伝ってください!」
「わかった!」
俺は女性を背負い、家の中に運ぶ。外出中に倒れたのか、ドアには鍵がかかっておらず、苦労せず中に入れた。奥の部屋にあるベッドに女性を寝かせる。
「ユウスケさん。水と水桶、タオルを探してきてもらえませんか? 私は薬が無いか探してみます!」
「わかった、探してくる!」
タオルはすぐに見つかった。しかし水と水桶が見当たらない。もしやと思い家の外に出ると、近くに井戸があった。すぐ近くに桶も置いてある。
井戸水なんて汲むのは初めてだと思いつつ、汲み上げて桶に移そうとするが、
「おいおい……嘘だろ?」
――水が紫色をしていた。明らかにこれは異常だ。
汲んだ水もアイテム同様、ボタン操作での説明欄表示が可能だった。――急いで確認すると、
<毒性水>
……毒に汚染された水。動植物に悪影響をもたらす。
「やっぱり……」
俺は、この毒性水をストレージに収納できないか試す。――できたが、次に出す時は容器を用意しておかないと悲惨なことになるな。
――俺は部屋に戻る。
◆
部屋ではアンリさんがベッドに寝かした女性の看病をしていた。薬を見つけたようで、前に神殿で食料と一緒にもらった飲料水で女性に薬を飲ませていた。俺に気づき、アンリさんが声をかける。
「あ、ユウスケさん。どうでした?」
「……井戸水に毒が入ってた」
アンリさんが呆気に取られる。
「水源が汚染されてるのかもしれない。もしかしたら、この人もその影響で体調を悪くしてるのかも……」
ベッドで苦しそうにうなる女性を見る。
「ど、どうしましょう……見つけた薬は解熱剤だけで、病気の根本的な治療にはなりません」
アンリさんの顔が青い。
「まずは部屋をもう少し探してみよう」
アンリさんを連れて部屋に戻る。まだ調べてない部屋は無いか。
「ここ、鍵がかかってますね」
「非常時だ。壊させてもらおう」
俺は物置にあったバールを持ってきて木製のドアを無理やりこじ開ける。部屋の明かりをつけると――
「釜?」
――アンリさんの言う通り、そこには大きな釜があり、中に不思議な色の液体が満たされていた。




