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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<理事長襲来>編
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第74話 異世界転移前ミーティング(質疑応答)

――講義室――



「それではこれより、質問をお受けします。質問のある方は挙手願います」

 理事長の説明が一通り終わり、秘書の仕切りでようやく質問タイムに突入した。


 各校、何人かがまばらに手を挙げている。ちなみに俺も。


「RPの加点条件、『その世界にとってプラスになる働き』というのは、具体的にどの様なことを指すのでしょうか?」

 指名された第2校の生徒が質問する。


「それを考えるのも課題のうちです。ここで採点基準を明言すると、あなた達は高得点にばかり注力してしまいそうですからね。あえて明言はしません。ただ、システムは各校公平に採点することは保証します」

「あ、ありがとうございました……」

 

 なるほどな。確かに、ポイントを稼ぎに高得点のものばかりやるようになるかもな。まずは実際に色々試してみて、どういう採点基準かを理解するのがよさそうだ。


「他に質問のある方はいますか?」

 秘書の問いかけに俺は手を挙げる。


「第1校ユウスケさん」

 指名を受け、俺は席から立ち上がり質問した。



「私もRPについての質問ですが、うちは2人しかいません。他校は3人もしくは4人です。RPはパーティ共通とおっしゃられましたが、不公平ではないでしょうか? 作業面や戦闘面で不利です」


 アンリさんがハッとしたように俺を見る。……気づいてなかったのか、アンリさん。おっとりしすぎよ!


「その質問は当然ですね。確かに不利は否めないでしょう」

「では――」

 

 言い募ろうとする俺を理事長は片手を上げて制し、


「今回、パーティの最大人数は4人で設定しています。なので、人数が足りない校は、現地住人をパーティに加えることを許可します。もちろん、当人の承諾は必要ですが」


 なるほど……それなら人数的にはイーブンだが……、


「現地住人とスキル持ちの生徒では、生徒の方が有利かと! やはり不公平です!」


 第4校の生徒が割り込みで抗議してきた。向こうも3人で人数が足りないからな。割り込みはマナー違反だと思うが、まぁ、言いたいことはわかる。


「確かにスキルは強力な()です。あなた達に現地で活躍してもらうために付与したものでもありますからね。――でも、『世界にとってプラスになる働き』というのは、なにも力だけで決まるものではないのですよ」


 理事長の回答は意味深だった。これは、RPの採点基準にも触れてるような気がする。


「それに、まだ行ってもいないのに、現地住人を侮るのはやめなさい。スキルさえあれば自分達の方が有利だと決めつけるのは、傲慢ですよ」

 

 理事長の圧に第4校の生徒が黙り込む。俺も反省する。前のダンジョンでだって、現地のヒトカゲやいわおに助けられてばっかりだったじゃないか。


「あなたもこの回答でいいですか?」


「えっと……それについては承知しました。ですが、もう一つだけ質問させて下さい。<ステータス>にあった<ロール>とは、戦闘職の役割分担のことですよね? 盾役、回復役、攻撃役など……」


 理事長がうなずき俺に先を促すのを確認し、質問を続ける。


「であれば、現地住人にもロールが設定されているのでしょうか? パーティに入ってもらって私達と被ると問題かと思いまして」


「――あなたはよく頭が回りますね。そうです、現地住人にはそれぞれロールが設定されています。しかし、あなた達生徒は、自由に付け替えることが可能です」


 感心したように理事長が答える。


「つまり、パーティに加える現地住人に合わせ、自分達のロールを考える必要があるということですね……ちなみに、パーティに加入した現地住人は脱退したり他の住人と入れ替わったりはできるのですか?」


「それは可能です。当人の同意は必要ですが」

「わかりました。ありがとうございます」



 なるほどな。ロール被りを回避できるのなら後は調整できるだろう。



「他に質問のある方」


 秘書の呼びかけに手が挙がり、その後もいくつか質疑応答がなされた。その中で気になったものは、


「死亡した場合、復活しますよね? 復活場所は塾でしょうか?」

 第3校の生徒からの質問だった。


「あなた達生徒は、死亡してパーティが全滅した際に復活はしますが、場所は塾ではなく中央都市の神殿となります。原則として、期間中は塾に戻れないものと考えてください」

「は、はい。わかりました……」


 各校の担当エリアでなく、人間の管理する中央都市の神殿で復活するんだな。覚えておこう。――それと、復活対象は俺達生徒で、現地住人には当てはまらないだろう点にも注意しておかないと。まずは蘇生の方法をスキルでもアイテムでも探しておくべきかもしれない。



「他に質問は無さそうですね」

 秘書が確認するが、もう手は挙がらない。

 

「それではこれより、転移先の世界――ファティリタス――へのゲートを開きます。準備のできた校から転移を開始しなさい。最低限の食料は転移先に置いてますが、その他必要な物は各自で現地調達しなさい。――あなた達の活躍を期待していますよ?」


 そう言うと理事長は、発言の通り、異世界へのゲートを開いた。各校の生徒は、所属校の講師と、しばしの別れの挨拶を交わし、続々と転移を開始する。



「ユウスケ、アンリ。あんた達ならきっと大丈夫。何か困ったら連絡して来なさい。でもなるべく、自分達で解決する様に」

「ぶっちゃけ急で戸惑ってるけど、やれるだけやってみるよ」

「そうですね。頑張って<ファティリタス>を復興させましょう!」


 俺とアンリさんもユイとの別れを済ませ、ゲートに入る。



――そうして、1年の長きにわたる、<ファティリタス復興>の異世界生活が始まった。

 

 

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