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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<理事長襲来>編
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第73話 異世界転移前ミーティング(概要説明)

――講義室――



「皆、集まったようですね。では、ミーティングを始めましょうか」


 理事長はユイがいつもするように、どこからか空中にコンソールを出してタイピングする。入力を終えると、教壇近くに大きなホログラムが投影された。どこかの惑星のようだ。――相変わらず、すごい技術だな。


「ここに呼ぶ際にも簡単に伝えましたが、あなた達、第1校から第4校の生徒には、これから、期間限定でとある異世界の復興支援に行ってもらいます」


「質問、よろしいでしょうか?」

 第4校の生徒が手を挙げる。しかし――


「質問は後でまとめて受けます。まずは理事長の説明をお聞きください」


 近くの女性秘書が前に出て、生徒の質問をインターセプトする。――こ、こえぇ……



「――では続けます。この世界は、今からおよそ30年前まで、人間と魔族が長く戦争をしていました。最後には人間側が勇者の働きもあり勝利しましたが、それまでに世界が受けた被害は大きく、未だ復興の目途が立たずにいます」


 理事長はホログラムを次々に切り替える。その場の光景を切り取ってきたかのような鮮明な映像が俺達の前に映し出された。


 荒れた大地、飢餓に苦しむ人々、息絶えるモンスターや魔人、枯れた草木、毒沼――どれも悲惨な光景だった。「ひどい……」と、室内のどこかから声が漏れる。


「あなた達にはこれから1年間、この世界で復興支援をしてもらいます」


 理事長がそこまで言うと、第4校から勢いよく席を立つ男子生徒が。


「ふざけんな! こんなところに1年もいられるか!」


 先程と同じ様に秘書が前に出ようとするのを理事長が手で制し、


「強制はしませんよ? ですが、断ると言うのなら、あなたにはこの塾を辞めてもらいます」

「それでも構わない。俺は嫌――」

 

「――お、落ち着け」

 焦った第4校の男性講師が止めようとするが、 


「では、これまでですね」


 理事長が指を鳴らすと、その男子生徒の姿が掻き消えた。――場を静寂が支配する。


「安心なさい。他の魂同様、通常の転生サイクルに戻しただけです」


 そ、そうか……魂ごと消滅させられた訳じゃないのか。……安心していいのかはわからんけど! その生徒の担当だった第4校の講師はガックリとうなだれている。


「では話を再開しますよ」



 理事長がパンパンと手を叩き、場を締めなおした。



「『酷いことをする』と思った人もいるかもしれませんが、異世界の住人は、私達やあなた達の隣人も同じ。いずれあなた達が転生する世界の一つなのですから」

 

 理事長はそこで言葉を区切り、


「その世界を『こんなところ』と蔑むような感性の持ち主は、当塾の生徒に相応しくありません。――あなた達が今こうして学んでいるのは、異世界をよりよく活性化させるための<因子>となるためなのですからね」


 なにそれ初めて聞いたんですけど! と前の席のユイを見るが、ユイは何食わぬ顔で座ってる。隣のアンリさんも全然動じてないな……


「行ってもらうのは1年ですが、3ヵ月毎に、今の様に集会を催します。進捗確認と情報交換を目的にね。それと、異世界に行っている間は自分達の塾への帰還は原則禁止ですが、講師との通話は許可します」


 どうやって、と生徒達の頭に疑問符が浮かぶ。理事長はそれを見越した様に、コンソールに指を走らせる。


「今、あなた達の視界の左端に、ボタンが表示されているはずです。そこを押してみなさい」


――すると、視界の左端に、ボタンが。これはダンジョンの時にもあったメニューボタンか。俺とアンリさんは、恐る恐るボタンを押す。


「メニューが開いたと思います。項目の中に、<受話器のアイコン>があるでしょう? それが自分の所属する塾への通話発信のボタンです」


 なるほどな。


「メニューにあるその他の項目についても簡単に説明しておきましょう。まず、<ステータス>を押してみなさい」


 言われる通り操作する。


「<ステータス>内には、あなたの現在のレベルや能力値、クラス情報などが記載されてます。詳細は後程、各自で確認しておくように」


 ん? 何だ? CP? ――それに、<ロール>ってやっぱアレのこと?


「ステータス画面を閉じたら、次に、<スキル>を押しなさい。そこに、戦闘スキルや創作スキルの習得状況や、各カテゴリーの練度レベルが表示されています」

 

――お、おお!? カテゴリー欄に、<錬金術Lv.1>や<料理Lv.1>とかがあるぞ!? おら、ワクワクしてきたぞ!!


「そのカテゴリーのスキルを使えば使う程、カテゴリーの練度が上がり、スキル使用時の成功率や出来栄えにボーナスがつきます。また、練度が上がれば、そのカテゴリーに応じたステータスボーナスも付与されますよ」


 なんかMMO-RPGっぽいけど、めっちゃ楽しそうやん!


「スキルの取得や使用方法は各自で確認しておくように」

 

 そこで理事長は一度言葉を区切り、


「また、異世界で復興支援をするにあたり、ポイントで評価します。メニュー項目の<RP>を開きなさい」


 言われた通り開いてみる。<RP 0>と、<取得履歴>の項目があるな。


「あなた達がその世界にとってプラスになる働きをすると、その内容によってシステムがRPを算出して加点します。もちろん、難易度や価値の高い内容である程ポイントは高くなります。なお、RPはパーティ共通です」


 ほうほう。


「あなた達にはこれから、各校に分かれて、このRPを競ってもらいます」


 ふむふむ。

――は? 周囲を再確認する。

 第2校……4人

 第3校……4人

 第4校……3人(一人減ったので)

 

そして我らが第1校……2人(俺とアンリさん)

――ちょ、ちょっと待った! 質問というか意見したいが、ああ! 質問は後でまとめてだっけ!?


「また、競合を避け、効率的に復興支援をするために、各校の担当エリアを分けます。地図中央にある人間の都市を中心に、エリアを北部、南部、西部、東部の4つに分けます。各校の配置は以下の通りです」


 ホログラムの地図上で、都市を中心に4つのエリアが色分けされ、各校の配置が示される。


 北部:第2校

 南部:第1校

 西部:第3校

 東部:第4校


「1年の期間を終えて集会で結果発表をする際、各校のRP取得順位に応じて報酬を与えます。良い順位であればそれなりのものを用意しますので、そこは期待してください」


 この理事長が言うと、かなり期待できそうだな……うむ、頑張りたい。



「最後に。この世界――ファティリタス――は、かつて水や緑に恵まれ、多種多様な生き物が共存する惑星として、その名が轟いていたのです。――あなた達のできる限りの力で、この世界を助けてあげてね。私からの説明は以上よ」


 理事長の最後の言葉には、寂しさや悲しさが多分に含まれていた。



「それではこれより、質問をお受けします。質問のある方は挙手願います」

 秘書の仕切りで、ようやく質問タイムに突入した。



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