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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ダンジョン攻略>編
70/321

第70話 ダンジョン攻略【最終話】決戦

――地下5F――


 ついに来ました。目的の場所に。今回のクリア課題『地下5Fにいるボスモンスターの討伐』のため、俺達は目の前の大扉を押し開ける。すると――


 大部屋の中に、大きなモンスター――あれはドラゴンですね――が鎮座してこちらを見ている。そしてふと、


――ごぉぉぉぉぉぉっ!!


「火ぃ吐いてきたぞ!?」

 俺は思わず扉を閉める。まだ入ってもないけど。


 そして作戦会議。


「え? あれ、無理じゃね? でかすぎるしヤバいよ絶対あれ」

「ちょ、ちょっと難易度跳ね上がってませんか?」

「グギャ!」【天の声】「やってみなきゃわかんない!」(ヒトカゲの代弁)

「――――!」【天の声】「俺が盾になる。なってみせるさ!」(いわおの代弁)


 俺とアンリさんは腰が引け、ヒトカゲといわおがやる気満々だ。


「ま、まぁ、ちょっと待って。作戦練ろ?」

 モンスター組をなだめて作戦会議をする。



「まずは俺達自身の確認な?」

 ステータスやスキル一覧を見て、めぼしいのが無いか確認する。


ユウスケ&ヒトカゲ共通

【耐性】

 火耐性 +100(火属性無効)

【スキル】

 ファイアブレス 3 レベル2

 火炎斬り 4 レベル1

 HP自動回復 パッシブ レベル1

 剣・刀装備時ATK補正 +10


「あ! 俺ら、火属性無効じゃん!?」

「グギャ!」


――忘れてた。天の声が訳さなくてもヒトカゲが怒ってるのがわかる。


「私といわおちゃんは持ってませんね……」

 確かに。


「俺達のSPって残りいくつだっけ?」

 確認してみると、


 ユウスケ (現在SP+ 6)

 アンリ  (現在SP+12)


「結構ありますね。スキル、火耐性が無いか探してみますね?」

 アンリさんと一緒に俺も未習得一覧を確認してみる。すると、


 <火耐性 パッシブ レベル1 必要SP3>

 <プロテクション―ファイア― 5 レベル1 必要SP5>


「2種類あるな」

「私だけに耐性がつく"火耐性"と、パーティ全体に効果のある魔法ですね。ただ、パーティ全体だと、必要SPが多いみたいです」


 どちらにするか……いわおのことを考えるなら後者だけど。


「…………」

【天の声】「気にしないで。あれくらいなら耐えられるから」(いわおの代弁)


 そ、そうか……じゃあ、遠慮なく。


「いわおは自分で耐えられるらしいから、アンリさんは火耐性取っちゃって」

「いいんですか? いわおちゃん、ごめんね」


 いわおに謝りつつ、アンリさんが火耐性を取って最大までレベルを上げる。


 <火耐性 パッシブ レベル3(完全耐性)>


「残りSPが3になっちゃいました……」

「これは仕方無いよ。必要経費と割り切ろう」



 お次はどうするかな……


「これなんかどうですか?」

 アンリさんが勧めてくる。どれどれ――


 <ディフェンスアップ 5 レベル1 必要SP5>


「物理防御を上げる魔法か……いいね。しかもパーティが対象みたいだ」

「――――」

【天の声】それならもう持ってるそうです。


 <ディフェンスアップ 5 レベル2>


「おお、ナイスいわお! しかもレベル2かよ!」

 俺はいわおの肩を軽く小突く。いわおも褒められてうれしそうだ。


「俺は、ヒールを取っておくよ。アンリさんには攻撃に回って欲しいし」

 そう言って俺は回復魔法のヒールを取得する。


 <ヒール 3 レベル1 必要SP3>


「後は戦ってみないとわからないな。行ってみようか」


 皆がうなずき、また再戦することに。



【天の声】ディフェンスアップ!


 いわおの魔法で皆が光に包まれ、物理防御力が上がる。そして俺は再び大扉を開――


――ごおぉぉぉぉぉっ!!

 

「あ、あいつ! 出待ちでファイアブレスを!!」

「落ち着いてください! 火耐性があるので大丈夫なはずです!」


 慌てる俺をアンリさんが一喝してシメてくれる。そうだ――スキルがあるんだった!


 ……確かに痛くもかゆくもないな。俺はそのまま扉を押し開ける。


「よし! 突入するぞ! いわおはブレスに気をつけろ!」


 皆で一気に部屋に突入した。



 大部屋の中は、中央にドラゴンが鎮座しており、周囲は荒れ地だった。ところどころ岩が突き出ており、身を隠すことはできそうだ。


 ドラゴンの頭上には、<ドラゴン>のテキスト表示が。――まんまだな。だが、ボスだからか、テキストが黒い(通常モンスターは赤だった。ちなみに、ユニークモンスターのいわおは紫だ)。


「グギャ!」

 先駆けはヒトカゲだ。剣で斬りつける。しかし、外皮が硬いのか、傷は浅い。


「ゴァァッ!」

 ドラゴンが振り向き様に爪を振るうが――


「――――」

 不動のいわおが間に入り、軽くあしらう。――いわお、すげぇ。


「ライトニング!」

 後方のアンリさんから雷撃魔法が飛び、ドラゴンに直撃する。


「ゴアァァァァッ!!」

 ドラゴンから絶叫が響き渡る。す、すごい! めっちゃ効いてる!


 ドラゴンは標的をアンリさんに定めたようだ。向かって行こうとするが、そうはさせない!


「――――!!」


 いわおが両手を突き出し、ドラゴンの巨体を全力で止める。ドラゴンの方がでかいのに、いわおはビクともしない。――いわおありがとう! ――あの時は仲間にするかどうか悩んでごめんな!


「アンリさんはライトニングを連発してくれ! 俺は二人にヒールをかけながら攻撃する!」


 俺は自らの宣言通り、傷ついたいわおやヒトカゲをヒールで癒しつつ、ドラゴンに鞭や魔法で攻撃を仕掛ける。



 そこからは一方的だった。ドラゴンは俺達のチームワークに手も足も出ないようで、ただ傷を重ねていく。こちらは物理防御、火耐性どちらも上げており、回復も厚く、隙は無かった。


「ゴァァァッ……!」


 バタン……ドラゴンが倒れ伏し、塵になって消える。


 経験値  +2000

 ゴールド +4000


 最後だが、景気よくレベルアップのファンファーレが鳴る。


 ユウスケ レベル 15 ⇒ 16 SP+3(現在SP+ 6)

 アンリ  レベル 15 ⇒ 16 SP+3(現在SP+ 6)

 ヒトカゲ レベル 19 ⇒ 20

 いわお  レベル 25 ⇒ 26


――ちょ! いわお! お前そんなに強かったのかよ!? 慌てて視界右端のステータスを見ると、普通にレベルが表示されてた。またもや見逃してたようだ……


「あ! 宝箱が出ましたよ!」

 アンリさんのいる所に皆が集まる。宝箱はプラチナでできていた。これも初めてだな。楽しみだ!


 <ドラゴンスレイヤー ドラゴン特攻 ユニーク武器 大剣>


「おせぇわ!!」


 思わず俺は絶叫した。ドラゴンを苦労して倒した報酬がドラゴン特攻武器って何の嫌がらせだ!! しかも俺は鞭以外装備できないし!


「あはは……ユイさんですからね」

 アンリさんもずいぶんとなじんだようだ。頬をかいている。



「ありがとうな……ヒトカゲ、いわお」

「ヒトカゲちゃん、いわおちゃん。お元気で……」

「グギャ……」

「…………(悲)」


【天の声】二人も悲しいみたいです。でも、「ありがとう」って。


 しんみりしながらもヒトカゲといわおを両腕で抱きしめ、別れを告げる。アンリさんは涙を流している。


「また会えるかはわからないけど、どこかで会えるといいな」

 そう言って、名残り惜しいが、ヒトカゲといわおから離れる。


「ユウスケさん、あそこの魔法陣が光ってます。出口では?」

 アンリさんが指さす先を見ると、確かに光り輝く魔法陣があった。


「じゃあな……元気でな!」

「ヒトカゲちゃん! いわおちゃん! ありがとう!!」


 俺とアンリさんはヒトカゲといわおに手を振り、魔法陣に入る。二人も手を振り返してくれた。



――やがて、何度も経験してすっかり慣れた、視界の暗転が訪れた。



〈ダンジョン攻略編・完〉

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