第62話 ダンジョン攻略【13】「死神」と呼ばれたリザードマン
――地下3F――
「火炎斬り!」
「ライトニング!」
【天の声】ファイアブレス!
「「「グァァァッ!」」」
経験値 +33
ゴールド +66
ユウスケ レベル 12 ⇒ 13 SP+3(現在SP+ 8)
アンリ レベル 12 ⇒ 13 SP+3(現在SP+ 6)
ヒトカゲ レベル 17 ⇒ 18
モンスターを全滅させ、取得した経験値で俺達はまたレベルアップした。そう、レベル10になった後も、ヒトカゲの力を借りて地下3Fでひたすらパワーレベリングをしていたのだ。
「残りのSPは次の階まで取っておきますね」
これはアンリさんだ。アンリさんはあれから、睡眠の完全耐性を6SPで取得済みだ。
<睡眠耐性 パッシブ レベル3(完全耐性)>
残りは、次の地下4Fに進んだ後の状況で決めるという。
「俺もちょっと余り過ぎだけど、そうするかな」
俺はあれから、死んだ仲間の復活魔法を5SPで、そして、敵モンスターの居場所を調べてフロアマップに表示するスキルを5SPで取得していた。
<リザレクション 10 レベル1(HP25%で蘇生)>
<サーチエネミー 5>
どちらも有用なスキルだからか、取得に必要なSPは5と高かった。リザレクションは、あれから仲間が健在なためまだ試せてないが、ボス攻略や不意の事故死に有効だろう。
そして、サーチエネミーについては、既に大いに役立ってくれていた。
「レベルを上げるとモンスターがすぐ逃げちゃうけど、<サーチエネミー>があると楽でいいな」
「そうですね。死角から不意をつきやすくなりましたし」
そう、このスキルを使うと、モンスターの居場所が赤い点で表示される。事前に居場所が分かれば、モンスターが逃げる前に攻撃をしかけることも容易なのだ。
このスキルのおかげで、レベリングはだいぶ楽になった。
――モンスターからしたら悪夢だろうけどな。
残ったSPは使わずにおく。
前に落とし穴で落ちた先、地下4Fでは確か毒沼があったし、その対策が必要になるだろう。他にも予期せぬスキル需要があるかもなので、ちょっと多いが取っておく。
「ヒトカゲはさらに頼もしくなったな……」
「そうですね。ヒトカゲちゃん様々です!」
「グギャァ♪」
ヒトカゲは既にレベル18だ。もうこのフロアのモンスターじゃ全く相手にならない。
遭遇したリッチの中には、ヒトカゲを見て「し、死神……」と呟きながら、ヒトカゲに焼き払われるやつもいた。このフロアで既にヒトカゲは確固たる地位を確立しているようだ。
ちなみにレベリング中、リッチとグリズリーから、何回か「仲間になりたい」との申し出を受けた。
仲間にする条件である<俺がとどめをさしたモンスター>がほとんどだったが、中には、戦う前から仲間になりたいと申し出るやつもいた。――申し訳ないが、すべて断り経験値になってもらったが……
「ど、どうして……」
焼き払われるリッチの悲しそうな呟きに罪悪感を感じなくもないが、「悲しいけど、これが仕様なのよね」と割り切ることにした。
仲間にしなかった理由にこれといったものは特に無いが、ヒトカゲが強すぎて今は必要を感じなかったのと、残り1枠しか無かったので、慎重に見極めたかっただけだ。
長いレベリングで、俺達の装備も一新された。今の俺達の装備はこうだ。
【ユウスケ】
右手 束縛のウィップ+7
(【付与効果】バインド[小] )
左手 堅牢な盾+7
(【付与効果】DEF+10 )
頭 帽子+6
体 服+7
腕 手袋+6
足 ブーツ+6
【アンリ】
右手 叡智のロッド+7
(【付与効果】INT+10 )
左手 ( 両手持ち )
頭 マジックキャップ+6
体 再生のローブ+7
(【付与効果】HP・TP自動回復[小] )
腕 マジックグローブ+6
足 ブーツ+6
【ヒトカゲ】
右手 炎のロングソード+5
(【付与効果】属性:炎 )
左手 大盾+7
頭 ヘルム+7
体 アーマー+7
腕 アーム+7
足 レッグス+7
めちゃくちゃ強化された。
俺の鞭なんか、レアドロップで<束縛の>がついて、モンスターを一定時間拘束することができるようになった。――レジストされることもあるけど。
<堅牢な盾>もレアドロップで、物理防御力を底上げしてくれる。
アンリさんの<再生のローブ>なんかもレアドロップだ。付与効果として<HP・TP自動回復[小]>がついており、一定時間ごとに自動回復してくれるため、魔法を気兼ねなく撃てるようになりアンリさんはすごく喜んでいる。
ヒトカゲは俺達にレアドロップを優先して譲ってくれた。ただ、今の装備よりも強化値の大きい<雷鳴のロングソード+8【付与効果】属性:雷>がレアドロップしたのだが――
【天の声】雷より炎の方が好きだそうです。要らないと。
という好みの問題により、お蔵入りになった。
まぁ、今のままでも十分強いし、名前も「ファイア」リザードマンだし、相性もあるのだろう。
「よし! じゃあ、そろそろ次の階に進もうか」
「そうですね。地下4Fなら手ごたえがありそうですね!」
「グギャ♪」
――俺達はそうして、レベリング中に見つけていた地下4Fへの階段を下りて行くのだった。




