表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ダンジョン攻略>編
61/321

第61話 ダンジョン攻略【12】ユニークスキルって心躍るけど、やっぱり俺のはアレだった

火炎斬(かえんぎ)り!」


――バシッ! ……ごぉぉぉっ!


「ぐぉぉ!」


 俺は、ヒトカゲの進化に(ともな)い取得した新スキル<火炎斬り>でリッチを焼き払う。殴打(おうだ)属性の(むち)で<斬り>とはこれいかに、とは思うが、細かいことは気にしないことにした。


【天の声】火炎斬り!


――ザンッ!! ……ごぉぉぉぉっ!!


「グァァァ!」


 ヒトカゲはグリズリーを火炎斬りで焼き払った。ファイアリザードマンに進化して、俺の渡した<炎のロングソード+5>を装備してるのもあって、非常に(さま)になっている。


「俺の火炎斬りより、めちゃくちゃ威力(いりょく)高くね?」


【天の声】そりゃあ、<炎のロングソード+5>を装備してますし、スキル<(けん)(かたな)装備時ATK補正(ほせい)+10>もかかってますし、当然ですよ。


 こ、こいつ……俺はそれができないってのに!


「ライトニング!」


――ガカッ!


 アンリさんが最後に残ったリッチを雷撃(らいげき)魔法で蒸発させた。


 いつものように、取得した経験値とゴールドのテキスト表示がポップアップする。 


 経験値  +31

 ゴールド +62


 そしてファンファーレが()(ひび)き、レベルアップとSP取得テキストがポップアップした。


 ユウスケ レベル  9 ⇒ 10 SP+3 ユニークスキル取得

 アンリ  レベル  9 ⇒ 10 SP+3 ユニークスキル取得


 今回のレベルアップは俺とアンリさん。ヒトカゲは16のままだな。それよりも――


「ユニークスキル?」

「なんでしょうね?」


 今までにないテキスト表示<ユニークスキル取得>があった。とりあえず、確認してみるか……


「あ、<復唱>っていうのが増えてます」

 アンリさんが説明欄を確認し、俺に教えてくれる。


 <復唱 パッシブ レベル1 まれに同一魔法が連続で発動する(追加TP消費無し)>


「めっちゃいいじゃん。魔術師(まじゅつし)にピッタリだし、追加TP消費が無いんだったらデメリットもないし」

「そうですね。ユニークスキルって、他のスキルと違って、その人固有のものみたいです」


 そう言って、アンリさんは「えへへ」と嬉しそうに笑う。いいなぁ……


 よし! 俺も確認してみよう! スキル欄を開く。


 <仲間モンスター数+1 パッシブ 現在の上限:2体>


「……」

「どうしたんですか?」


 アンリさんが首をかしげて聞いてくる。


「ああ……仲間モンスターをもう1体増やせるようになったみたいだ」

「すごいじゃないですか!」

 

 アンリさんが純粋(じゅんすい)に喜んでくれてる。でも俺はもっと違うのがよか――


【天の声】一体、何が不満だというのですか?


 あ、ちょっと不機嫌そう。機嫌(そこ)ねてもいいことないしな……


(いや、悪い。もうちょっと変わったものを期待してたからさ)

 念話(ねんわ)弁明(べんめい)する。


【天の声】もう1体仲間にすれば、「これでよかった!」と、きっと感謝しますよ!


 そうだな。そうなることに期待しよう。



「あれ? ユウスケさん、そっちは入口の方ですよ?」

 アンリさんが首をかしげながら俺に聞いてくる。


「ああ、ちょっと気分転換に、戦うモンスターを変えようかと思ってな」

 

 そう言って俺達は、同じ地下3階でも入口近くに移動する。


――お、出たな!


 ラミア×2


 ふふふ……どうせモンスターを仲間にするなら、上半身だけだとしても女性型がいい! 確か、モンスターを仲間にするには、俺がとどめを()せばよかったはず……。――よし!


「火炎斬――」


「ライトニング」

【天の声】ファイアブレス!


「「ぎゃあぁぁ!」」

 ラミア2体がアンリさんとヒトカゲに瞬殺(しゅんさつ)された。


 経験値  +18

 ゴールド +36 


「……」

「さ、ユウスケさん。どんどん行きましょう♪」

「グギャ♪」


 しばらくラミアを含むモンスターを狩り続ける。……のだが、アンリさんもヒトカゲも、ラミアを優先的に速攻潰しにかかってるような……俺が1体もとどめをさせてない。


「ちょ、ちょっと俺も技の練習がしたくてさ。次は俺が倒してみていいかな?」

 自分だけで戦うしかないと思い、そうアンリさんに提案するが――


「……ユウスケさん、ずいぶんラミアに執着(しゅうちゃく)してますよね? 何かあるんですか?」


 抑揚(よくよう)の無い声でアンリさんがそう言ってくる。あ、アレ? 笑顔だけど、どことなく目が(うつ)ろな気が……


【天の声】……悪いことは言いません。ラミアはやめておきなさい。


――天の声からも忠告(ちゅうこく)が入る!?


(なんでだ! なんでなんだよ!?)

 俺は念話で慟哭(どうこく)する。


【天の声】もう分かってるでしょう? ……あなたとラミアの身が危険だからですよ。


 素の感じで(たしな)められた。あ、これ、あかんやつや……


「い、いや、特に何も無いよ? 気分転換にもなったし、そろそろ奥の方に戻ろうか」

「はい!あっちの方が効率いいですしね!♪」

「グギャァ♪」


 そうして、機嫌を直したアンリさんやヒトカゲと一緒に、奥の狩場へと戻るのだった。



――<ビーきち>の時にも思ったが、俺の人生って進む方向はもう決まってるんじゃないだろうか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ