第59話 ダンジョン攻略【10】……おや!? ヒトカゲのようすが!?
ヒトカゲを再び仲間に加え、和気藹々としながらダンジョン地下3Fの探索を進める俺とアンリさん。
「いやぁ、元気そうでよかったよ」
「置いてっちゃってごめんね。ごはんは大丈夫だった?」
「きゅる♪」
特にヒトカゲも怒ってないみたいでよかったよかった。むしろ前よりも感情表現が豊かになってるまである。
俺達はしばらく道なりにダンジョンを進む。すると、さっそく来たな?
グリズリー×2
リッチ×2
先程ヒトカゲと戦っていたグリズリーとリッチだ。今回、数は多いけど、さっきの戦闘ではヒトカゲが圧倒してたやつらだし、俺達でも戦えるだろ。
「サイレンス」
リッチの杖からアンリさんに沈黙付与の魔法が飛ぶ。
「ふふん♪」
だがアンリさんはドヤ顔だ。腰に手を当てて魔法を受けながら平然としている。頑張ってSPを貯めて沈黙の完全耐性スキルを取得してるからな。自慢したい気持ちもわかる。
――すると、もう1体のリッチがずいっと前に出た。
「スリープ」
アンリさんに杖を向けて魔法を飛ばす。-睡眠付与の魔法を。
「ぐぅ……」
「アンリさぁぁぁん!?」
アンリさんがその場で倒れ込み、眠ってしまった。そこにグリズリー達が押し掛ける。
「――ぐぁっ!?」
俺は急いでアンリさんの前に移動し、盾になる。しかし、グリズリーの強力な腕力に吹き飛ばされる。
――バァン!
「かはっ!」
壁に背中から衝突し、肺の中の空気が押し出される。ま、マズい……身体も動かない。
グリズリーが腕を振りかぶる。――しかし、
「ぎゃう!」
――ぎゃりっ
「ぐがぁぁっ!?」
さっき見た時と同じように、ヒトカゲがグリズリーの鼻をかみ千切り、悶絶させる。もう1体のグリズリーも同じように地面に転がっていた。――リッチに至っては2体ともいつの間にか絶賛燃えている……
【天の声】ファイアブレス!
――ごぉぉぉぉっ!
ヒトカゲが地面にうずくまるグリズリー達を火炎の息で焼き尽くす。
モンスター達は全滅した。
「……」
俺は驚きから声が出ない。強くなったとは思ってたが、桁違いだな……冷や汗が出る。
「う、う~ん……」
ちょうどアンリさんが起きる。上半身を起こし、きょろきょろと辺りを見回している。
「あ、あれ?」
急な状況の変化に頭がついていかないのだろう。――安心してくれ、俺もだ。
取得した経験値とゴールドのテキスト表示がポップアップする。
経験値 +42
ゴールド +84
そしてファンファーレが鳴り響き、いつものレベルアップとSP取得テキストがポップアップした。
ユウスケ レベル 8 ⇒ 9 SP+3
アンリ レベル 8 ⇒ 9 SP+3
ヒトカゲ レベル 15 ⇒ 16
「……」
「ひ、ヒトカゲちゃん?」
強い、強いとは思ってたがまさかここまでレベルが高かったとは……。視界の右端にあるヒトカゲのステータス表示を見ると、普通にレベルが表示されてたわ。気づかなかった……
そして、変化はレベルアップだけにとどまらなかった。
【天の声】……おや!? ヒトカゲのようすが!?
そしてどこかで聞いたことのあるリズミカルなBGM♪が流れる。ヒトカゲの身体が光に包まれ……
「ヒトカゲちゃん?」
アンリさんが唖然としながら光を見つめている。俺はこの時既に予想がついていたので驚きはしなかった。……引いてはいるけど。
やがて光は収束した。――そして、俺達の知るヒトカゲでない、逞しい姿が現れた……
【天の声】おめでとう! ヒトカゲは ファイアリザードマンに進化した!!
「グギャァァ!」
「……」
「え、えっと……」
――アンリさんの戸惑いを聞き流しながら、俺は目元を指でもみほぐして疲れを取るのだった。




