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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ダンジョン攻略>編
55/321

第55話 ダンジョン攻略【7】炎や氷の剣とか装備したかった。――でも

 場所は変わらず地下2階。あれからアンリさんと話し合い、ここで少しレベリングをすることにした。これからのことも考え、沈黙耐性を上げておきたかったのだ。


「ライトニング!」

 やっかいな<まほうつかい>から先に片付けていく。今もまた一体、アンリさんの魔法で消滅させられた。


 ここしばらく狩りすぎたせいか、<まほうつかい>は俺達――というかアンリさん――を見つけると、全力で逃げるまでになっていた。……憐れだ。


「ファイアブレス!」

 俺も負けていない。口から炎を吐き、スケルトンを燃やし尽くす。アンデッドは火が弱点だからよく効くし、癖になってきた。


――お、隣のヒトカゲも同じくファイアブレスでスケルトンを片付けたようだ。


 経験値  +17

 ゴールド +34

 レベル  6⇒7

 SP    +3


 レベルアップのファンファーレが鳴る。やったね。あ、宝箱もドロップしたな。! これは――


「あれ? 今までと色が違いますね」

 アンリさんの言う通り、宝箱は、今までの銅箱でなく、銀色をしていた。


「これはレアドロップじゃ?」

 アンリさんと顔を見合わせ、ニンマリと笑い合う。さっそく開ける。


 アイテムの上に <???>のテキストが表示されている。


「久しぶりの未鑑定品か」

 そう、これは未鑑定の証。


「任せてください。<アイデンティファイ>!」

 アンリさんがアイテムを手に取り、鑑定魔法を発動する。すると――


 <叡智(えいち)のロッド+3>


 おお。これは……


「<叡智の>ってついてますね。なんでしょう?」

 アンリさんが首をかしげる。


「こういうのは、特殊な付加効果やステータスボーナスがあるもんなんだよ」

 俺は、アイテムの近くにあるボタンを押して説明欄を開く。


 【付加効果】INT+10


「<叡智の>ってつくと、INTが+10されるみたいだ。強化段階も+3ついてるし、いいもん拾ったな。おめでとう」

 ちなみに、強化段階は右端の数字(+3)のことだ。数字が大きいほど強い。


「ありがとうございます! さっそく装備してみますね」

 そう言ってウキウキと装備するのだった。……いいなぁ。俺も欲しい。ロッドは装備できないが、他の近接武器だったらいけるだろう。


 レベルアップで獲得したSPは、俺は保留、アンリさんは沈黙耐性をレベル2に上げるのに使った。沈黙に対する完全耐性まで、あとレベルを1上げればいい。



 その後もしばらくモンスターを狩り続けた。アンリさんのロッドが強化されたおかげで、さらに無双モードに入った。


 そのせいか、モンスターがアンリさんの姿を遠目に見るだけで逃げてしまうので、後ろから回り込んで襲い掛かることにした。


――向こうからしたら悪夢だろう。


 経験値  +19

 ゴールド +38

 レベル  7⇒8

 SP    +3

 

 モンスターに遭遇するのが少し大変だったが、何とかレベルアップした。――ん? また銀箱が!


「また銀の宝箱が出ましたね」

 開けてみると、また未鑑定品だったのでアンリさんに鑑定してもらう。


 <炎のロングソード+5>


「き、たぁ~~~!!」

 俺がガッツポーズで叫ぶ。ヒトカゲとアンリさんがビクッとなる。


「そ、そんなにいいものなんですか?」

「ああ、これを見るんだ」

 そう言って、アイテムの説明欄を開く。


【付加効果】属性:炎


「すごいだろ? 剣で斬りつけるだけで炎ダメージが入るんだぞ!? しかも強化値は5!」

 俺は興奮しながらアンリさんにすごさをアピールするが――


「はぁ……よ、よかったですね!」

 残念ながらあまり伝わらなかったようだ。<炎の剣>っていうのはやっぱり男のロマンなのかな?


「装備しちゃいましょうよ!」

 アンリさんが俺に手渡してくれる。やっとこの(むち)ともお別れか……今までありがとな!


 しかし、炎の剣を装備しようとしても、なぜかできない。装備欄で、何度変更ボタンを押しても、選択肢に出てこない。――レベル制限とかあったっけ?


【天の声】メインクラス<モンスターテイマー>は、ウィップ(鞭)以外の武器を装備できません。


 久しぶりに天の声が説明してくれた。――というか、ちょっと待って!


(どういうことだよ! 聞いてねぇよ!)念話で天の声に苦情を言う。


【天の声】だって聞かれてませんし


(くっ……こいつ!)


【天の声】でもその代わりにステータスのボーナスはあるし、モンスターのスキルとかも使えるんですよ? ――貴方(あなた)だって楽しんでるじゃないですか、ファイアブレス。

 

(確かにそれはそうだが……くぅ)


 俺はその場にくずおれる。


「だ、だいじょうぶですか!?」

 急いでアンリさんが俺の身体を支えてくれる。


「俺には、どうやらそれは装備できないようなんだ……」

「また探せばいいですよ。私も手伝いますから」


 アンリさんの優しさが荒んだ(すさんだ)心にしみる。ごめんな? ウィップしか装備できなくて。



――世界は、やっぱりイジワルだった。

 


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