第54話 ダンジョン攻略【6】魔術師に<沈黙>はやめてください
地下2Fの探索を進める。スキルのフロアライトで洞窟内を照らして暗さを解決する。よく出てくるモンスターも、アンリさんの魔法や、俺とヒトカゲのファイアブレスで難なく倒せるようになっていた。
経験値 +15
ゴールド +30
レベル 5⇒6
SP +3
またファンファーレが鳴り響き、俺とアンリさん、そしてヒトカゲのレベルが6に上がった。……仲間モンスターもレベル上がるんだね。
「あ、SPはちょっと残しておかない?」
新しいスキルをどれにしようか考え込んでるアンリさんにそう提案してみる。
「この先、どんな仕掛けがあるかわからないから、少しは取っておいた方がいいかなと」
「そうですね。いきなり状態異常になったら慌てますし」
この前の宝箱毒ガストラップのことを言ってるのだろう。
「うん。麻痺を使ってくるモンスターとかも出てくるかもだし、ちょっと様子を見よう」
そんな話をし、いったんSPはお互いに3ずつ保留することに。
しばらく道なりに進む。角を曲がると――
フードを目深にかぶり杖を持った人に出くわした。
「うぉあ!」
俺は驚き、慌てて飛び退く。
「あ、すみませ――」
――そして、その人からファイアボールが飛んできて燃やされる。
「ごはっ!」
「ゆ、ユウスケさぁん!? ヒール!」
アンリさんが慌ててヒールをかけてくれる。そして――
「ライトニング!」
アンリさんが雷撃を放ち、フードの人を跡形もなく消し飛ばした。
「あ、アンリさん。容赦なく殺ったね……」
人を迷いなく消し飛ばすアンリさんに驚く。
「あれ、モンスターですよ?」
「へ?」
経験値 +7
ゴールド +14
あ、ほんとだ。取得した経験値とゴールドがポップアップしてるな。
「モンスターの上に、<まほうつかい>って、ちゃんとテキスト表示がありましたよ?」
急に近くに現れたから気づかなかったわ。
「ごめん、気づかなかったよ。助けてくれてありがとう」
リアルな世界だとパッと見で判別は難しいな……
さらに歩を進めると、またそいつが現れた。今度は距離があったので、問題なく気づけた。他のモンスターと群れをなして襲ってきた。
まほうつかい×1
スケルトン×2
ファイアリザード×1
「ライトニング!」
アンリさんが早速ファイアリザードを消し飛ばした。
「よし、続こう!」と、俺とヒトカゲが前に出た時――
「サイレンス」
<まほうつかい>から、アンリさんに魔法が飛んできた。ダメージはなさそうだが……
「ま、魔法が使えません!」
焦ったアンリさんが叫んで教えてくれる。ステータス表示を確認する。しまった、<沈黙>か! 普通にしゃべってるが、呪文を忘れてる状態とかなんだろう。
「アンリさんは俺の後ろに隠れてて!」
俺はアンリさんの前に立ち、スケルトンにファイアブレスを放って焼き付くす。ヒトカゲも、もう一体のスケルトンを倒せたようだ。
最後に残ったまほうつかいを、俺が鞭でビシバシ打ちのめし、なんとか全部倒せた。
経験値 +23
ゴールド +46
「ど、どうしましょう?」
アンリさんの<沈黙>はいまだ継続中だ。
「ちょっと待ってね。スキルを探してみる」
未習得一覧を確認する。――あった、これだな。
<アンチサイレンス 3 レベル1 必用SP3>
早速習得し、アンリさんに使って沈黙を解除する。
「助かりましたぁ~」
アンリさんが安堵から地面にへたり込む。
「モンスターも搦め手を使い出してきたね。魔術師に<沈黙>はきついよなぁ」
「でも、ユウスケさんがいれば大丈夫ですね」
「いや、俺も一緒に沈黙にされたら詰むからな」
うーん、と二人で悩み、とりあえずスキルの未習得一覧を確認することに。
「あ、ありました! <沈黙耐性>! ……でも、25%みたいです」
「無いよりいいっしょ。取っておけば?」
<沈黙耐性 パッシブ レベル1 必用SP3>
アンリさんがスキルを習得する。
「あ、レベルを上げると、更に耐性が上がるみたいです。――レベル2で50%、レベル3で完全耐性になります」
「じゃあ、それを優先的に上げた方がいいね」
――魔術師に沈黙とか、ほんとイジワルだよな。




