第53話 ダンジョン攻略【5】そして俺は炎を吐く
ファイアリザードを仲間にし、「ヒトカゲ」と名付けてパーティに加えた。そして俺達は地下2Fを探索する。
「そう言えば、ヒトカゲは前衛か。……なら、俺、後衛にまわってもいい?」
今のパーティ構成は、前衛に俺とヒトカゲ、後衛にアンリさんだ。
「どうしてですか?」
「俺の武器、ウィップって近ー中距離武器だから、敵の前列なら後衛でも届くんだよ」
こういう時便利だよな。
「そうなんですね……でも、後衛で守ってもらってる私が言うのもなんですが、一人で前衛だと、ヒトカゲちゃんが可哀想じゃないですか?」
まぁ、攻撃が集中するしな。ちなみにアンリさん、敵として戦ってた時はヒトカゲを怖がってたが、仲間にしてからは愛着がわいたのか、「ちゃん」づけだ。うむ、仲良きはよきかな。
「まぁそうなんだけど……ヒトカゲはどう?」
ヒトカゲの方を向き、聞いてみる。そもそも言葉を理解してるかもあやしいし、しゃべれないから返答も期待してなかった。しかし――
『ちょっとしんどい』
例のナレーション、もうめんどくさいから、以下、【天の声】が代弁してきやがった。
そうか~、しんどいか~
「しんどいみたいだから、やっぱり、俺も前衛で」
「え……モンスターが何を考えてるかわかるんですか?」
アンリさんが若干引いている。ちょっと傷つく……
そうして、またしばらく進むとモンスターの群れが現れた。
ファイアリザード×1
スケルトン×2
お、スケルトンは初見だな。
「アクアショット!」
「ファイアボール!」
俺がファイアリザードに水魔法を、アンリさんがスケルトンに炎魔法をぶつける。いい感じに2体を倒せた。残りのスケルトンは、ヒトカゲが対峙している。
【天の声】ファイアブレス!
ヒトカゲが固有スキル、ファイアブレスを使ってスケルトンを倒した。おお~、すごい。……というか、ノリノリだな、天の声。
経験値 +16
ゴールド +32
レベル 4⇒5
SP +3
俺とアンリさんのレベルが上がった。
またSPを入手したので、スキルカスタムを開いて、未取得の一覧を開く。が、そこでまた天の声が聞こえてきた。
【天の声】<モンスターテイム レベル1 必用SP3>のレベルを上げると、サブクラスに、仲間にしたモンスターの名前を設定できますよ?
(そうするとどうなるの?) 俺は天の声の念話に応じる。
【天の声】ステータスにボーナスが加算され、さらに、そのモンスターのスキルを使用できるようになります。
(つまり、ファイアリザードだと、ファイアブレスが使えるようになる?)
【天の声】その通りです。ちなみに、さらにスキルレベルを上げていくと、ステータスに加算されるボーナス値が増えたり、上位の追加スキルを覚えることもあります。
(なるほど、それは便利そうだな。情報ありがとう)
【天の声】初めからそれくらい素直ならいいのに。
最後の愚痴は聞かなかったことにして、SPを3使用し、さっそくスキルを強化してみる。これで残りSPはまた0だ。
<モンスターテイム レベル1⇒2>
そして、サブクラスの設定をいじる。
サブクラス なし ⇒ <ファイアリザード>
【ステータスにボーナス加算】
HP 体力 ⇒+20
TP スキル使用に必要 ⇒+10
ATK 物理攻撃力に影響 ⇒+5
DEF 物理防御力に影響 ⇒+5
INT 魔法攻撃力に影響 ⇒+3
RES 魔法防御力に影響 ⇒+4
DEX 命中率に影響 ⇒+2
AGI 行動速度と回避率に影響 ⇒+3
火耐性 ⇒+75(火属性75%カット)
【追加スキル】
<ファイアブレス 3 レベル1>
「お、おお~~~!? すげぇ!」
「ど、どうしたんですか?」
予想以上に恩恵があり、思わず驚いてしまった。
特に、火属性を75%カットとか、地味にすごいじゃん!
「いや、モンスターテイムのスキルレベルを上げたら、仲間にしたモンスターの名前をサブクラスに設定できるようになってさ。その恩恵が色々とすごかったんだよ」
「そんなことできたんですね」
「いや、俺もさっき知ったんだけどさ」
気味悪がられるだろうから、天の声のことは黙っておく。
「私は雷魔法のライトニングを覚えました。習得SPが4で高めだったので、他の攻撃魔法より強めかもしれませんよ」
アンリさんは早く試したくてうずうずしてるようだ。俺も覚えたスキルを早く試してみたい。
しばらくうろつくと、モンスターの群れが現れた。
ファイアリザード×2
スケルトン×2
「ライトニング!」
アンリさんがファイアリザードに雷撃を飛ばす。
――ピシャァン!
一撃でファイアリザードが絶命した。す、すごい。さっきまではファイアボールで苦戦してたのに。もう1体もアンリさんが手早く片付けてしまった。
スケルトンのうち1体はヒトカゲがファイアブレスで片付けてしまった。じゃあ、俺が大取りですね! つい先程覚えた、ヒトカゲと同じ、ファイアリザードのスキルを使ってみる。
「ファイアブレス!」
俺の口から炎の息が出てスケルトンを燃やし尽くす。
おお~~~!!
「ユウスケさん……ついに人間をやめてしまったんですね」
残念そうにアンリさんが俺を見る。ちょ! 「ついに」って、なにげに失礼では!?
「ち、違うって! さっき言ってた、モンスターの名前をサブクラスに設定した恩恵なんだって! <ファイアリザード>をサブクラスに設定して、ファイアブレスのスキルを覚えたの!」
説明すると、ようやくアンリさんが納得してくれた。
でも、思っていたより楽しいな。<モンスターテイマー>。
――最初は嫌だったけど、結構いいかも。




