第52話 ダンジョン攻略【4】ダンジョンでもやっぱりモンスターを仲間に
レベルが4に上がり、今いる地下1Fでは、脅威になるモンスターはいなくなった。倒してるのはほぼアンリさんだけど。
アンリさんの魔法が強すぎて、たいていの敵が、即座に焼却処分される。その間にも、回復薬やTP回復薬が宝箱からドロップし、ウハウハだ。
「だいぶマップも埋まりましたね」
「そうだな。そろそろ次のエリアへの階段が見つかるんじゃないか?」
俺の予想通り、そう間もなくして、下への階段が見つかった。もうこのエリアでやることはほとんどないので、さっそく階段を下りて次のエリアへ向かう。
――地下2F――
「うぉ! 暗っ!」
地下2Fは真っ暗だった。いきなり難易度を上げてきたな。
「ど、どうしましょう?」
アンリさんも不安そうだ。
「だ、大丈夫。これもダンジョンでのお約束だよ。こういう時は<たいまつ>を使って――」
「そんなの持ってましたっけ?」
アイテム欄を確認する。……無いな。
「じゃあ、明かりをつけるスキルを習得するしかないだろうな。調べてみよう」
俺はスキルカスタムで未習得スキル一覧を調べる。――あったあった。
<フロアライト 2 必用SP3>
「俺、SPあるから取っとくよ」
「ありがとうございます」
ちょうどSPが3あったのでフロアライトを取得し、さっそく使ってみる。俺の周囲が明るく照らされた。
「一定時間が経過すると消えるから、その度にスキルを使わないといけないけどな」
なにはともあれ、これで探索を続けられそうだ。
◆
道なりに進むと、さっそくモンスターが現れた。
ファイアリザードが1体だ。火か……
「ファイアボール!」
アンリさんがいつものように灰燼に帰そうとするが――
やはり、名前の通り火に耐性があるようで、ダメージの通りが悪い。ここは――
「アクアショット!」
俺は水魔法のアクアショットで水の塊をリザードにぶつける。
――よし! 倒した! やはり、ダメージの通りは火よりも水の方がいいみたいだ。
経験値 +6
ゴールド +12
「火属性以外の魔法も覚えた方がいいかもね」
アンリさんにそう言いながら、先に進もうとするが――
「ゆ、ユウスケさん。モンスターが……」
アンリさんが震えながら指さしている。――ん?
ファイアリザードが起き上がり、仲間になりたそうにこちらを見ている。仲間にしてあげますか?
はい
いいえ
ついに来たか……そんな予感はしてたんだよ。
「馬車は無いんだぞ……?」
そんなことをひとりごちる。アンリさんが俺の近くで首をかしげていた。
しかし、今回は特に断る理由も無いな。
⇒ はい
いいえ
ファイアリザードは嬉しそうに馬車――は無いので、ユウスケの足――にすり寄った。
「おい! そんなアレンジはいいから! 鳥肌が立つだろうが!!」
俺が思わずつっ込むが――
「ど、どうしたんですか? ユウスケさん。一人で」
アンリさんが俺を不審な目で見ている。これはまさか――
「アンリさん。さっき、俺達以外の声が聞こえなかった? 『ファイアリザードが起き上がり、仲間になりたそうにこちらを見ている』とかさ」
「いえ、特には。ユウスケさんには聞こえたんですか?」
「あ、ああ……」
「帰ったら、お料理を作ってご馳走してあげますね」
生暖かい目をしながら優しく微笑まれた。やめてくれ! 俺は頭がおかしくなった訳では――
ファイアリザードに名前をつけますか? ⇒「 」
ん? また声が。――ああ、名前か。まぁ、適当に。
⇒「ヒトカゲ」
すると、視界右端のステータス欄に、俺とアンリさんだけでなく、<ヒトカゲ>のステータスも表示されるようになった。レベルは……5か。高いな。
「しかし、地下1Fではまったくモンスターが仲間にならなかったけど、何が違ったんだろうな」
「う~ん……」
アンリさんが考え込んでいるが、ふと思いついたようで、
「ユウスケさんがとどめを刺すとかじゃないですか?」
言われてみれば確かに。さっきまでは、アンリさんが魔法で悪即斬ならぬ、「モンスター、即、殺」してたからな。俺はとどめを刺していなかった。
「確かにそうかもしれないな。じゃあ、仲間にしたいモンスターがいたら、なるべく俺がとどめを刺すようにしよう」
――そうして俺達は、新たな仲間、<ヒトカゲ>をパーティに加えて先に進むのだった。




