第5話 電車
「そろそろ慣れてきたんじゃない?」
この短時間でかなり精神が鍛えられた気はする。
「ちょっと難易度を上げるわよ」
お手柔らかにお願いします。
扉の向こうに投げられた。
◆
ガタン、ゴトン……
電車の中だ。そこそこ人がいる。
寝てるおじいさん、立ちながらスマホをいじってる学生、新聞を読むサラリーマン、色々だ。
俺の対面には女子高生がいる。何かを我慢してるようにソワソワしている。そんな時――
ぷっ
可愛らしいおならの音がした。女子高生から。
あ~、我慢してたからソワソワしてたのね。
女子高生の顔が真っ赤だ。
近くのギャルやヤンキーがからかいだす。
「なんか臭くね?w」
「くっさ~w」
女子高生は涙目だ。別の車両に向かうのか、席を立とうとしている。マズイ、このままでは要らぬトラウマになる!
ここはギャルやヤンキーを注意すればいいのか?
それとも女子高生を慰めるべき?
男らしく注意すべきかなぁ、と決意し立ち上がろうと下半身に力を込める。
ぶっ!
不意に大きなおならが出た。発生源は俺だ。
ギャルやヤンキーだけでなく、女子高生や他の乗員まで真顔で俺を見る。……やだ、恥ずかしい!
俺は逃げるように別車両に向かう。
――視界が暗転する。
◆
「あはははは! まさかそう来るとはねぇ!」
コスプレ女はご満悦だ。
生理現象なんだから仕方ないだろ!
「想定とは違うけど、はい、ポイント!」
面白さが1上がった。
納得いかん……
【現在のステータス】
優しさ1、勇気2、面白さ1




