第47話 どんなスキルが欲しい?
「ではでは、今度こそ本題に入るわよ!」
パンパンと手を叩き、ユイが仕切り直す。
(講師が板についてきたんじゃないか?)って言ったら怒られるだろうから、思うだけにとどめておく。
「さて、これからどうしたい?」
――前言撤回。まさかのノープランか?
「今までのように、私が仕切って決めてもいいんだけど、ユウスケも今回の件で、自分が何を欲しいか考えられるようになったみたいだし、希望を聞くのもいいかなと思ってね」
なるほど。なら遠慮なく。
「なにか魔法やスキルが欲しいな。アンリさんのいた世界では俺、武器を振り回すだけだったし。何かカッコよくて便利な魔法とかスキルが欲しい。もっとぶっちゃけて言うと、俺だけの<チートスキル>が欲しい」
「あんたはブレないわね……」
やめろよ、そんな誉めるなよ! 照れるじゃないか。
「チートスキルってなんですか?」
これはアンリさんからだ。おずおずと手を挙げて聞いてくる。
「簡単に言うと、――ズルいくらい強力なスキル――ね。その世界の常識を覆してしまうくらいの」
「ズルはよくないと思います」
――アンリさん、ちょっとムッとしてる?
「待った待った! ズルって聞くとそう思うのも気持ちはわかるんだけど、俺のいた世界じゃ、異世界転生っていうと、当たり前なんだって!」
俺はこの流れを断ち切るべく抗議する。だが、アンリさんはそっぽを向いて、こっちを見てもくれない。
「でも、そういうのが無くても、知恵や努力、仲間との絆で困難を乗り越えていくのもあるじゃない」
これはユイだ。くっ、あくまで邪魔を……!
「そういうのもあるかもしれないけど……、やっぱり目立った方がその世界にとっても、『異世界人が頑張ってる!』ってなると思うし、その世界の人ができないことをして問題を解決したら、すごく感謝されると思うんだ」
めっちゃ必死感はあるが、これでどうだ?
「まぁ、言い分はわかったわ。アンリはどう思う?」
「う~ん……まだあまりピンときてはいないのですが、みんなのために頑張るのはいいことだと思います」
お?これはいい流れか?
ユイは小さくため息をつき、
「わかったわ。チートレベルにするかはいったん置いておくけど、あんたはどんなスキルが欲しいのよ?」
改めて聞かれると、難しいな……
「まだ具体的には考えられてはいないんだけど、やっぱり、応用が利く創作系のスキルかな。ご褒美の選択肢にあった錬金術とかがそうだな」
しかし、ユイの反応はあまりよろしくない。
「うーん、鉄板すぎてちょっとね……はっきり言って、ありふれすぎてて新鮮味が無いのよ」
お前、ご褒美の選択肢にしてたじゃん! それに新鮮味とかは求めてないし、俺。
「異世界の人からしても、『ああ、はい、またソレね』って、飽きられちゃうかもだから、もうちょっとひねってみてよ」
大道芸かっちゅーの。まぁ、言いたいことはわかった。
「それでは、一つの物を極めて、すごく強い! とかはどうでしょうか?大魔道師みたいな」
これはアンリさんだ。だが、ユイは首を横に振る。
「それもさんざんやりつくされたわ。<異世界転生したら最強なんちゃら>はもう定番すぎて、異世界の住人から石を投げられてもおかしくないくらいよ」
異世界人って蛮族かよ。
「じゃあ、ユイは何かアイデアあるのかよ?」
さっきから文句ばっかじゃないか。
「私? ――私のは、ちょっとエグいわよ?」
「あ、やっぱいいです」
嫌な予感しかしない。ゴキブリで世界征服とか言い出しそうな気がしてきた。
「まぁ、すぐに思い付かないのだったら、無理してひねりださなくてもいいわ。とりあえず、オーソドックスなところから学んで、欲しいのが決まったら言いなさい」
「そうだな。そうさせてもうわ」
――やっぱりこういうのは、じっくり考えたいよな。




