第45話 ご褒美決定!
「じゃあユウスケ! 欲しいご褒美のところにあるプラカードの前に行って!」
ユイが俺を指さしながらそう告げる。簡単におさらいだ。ステータスカードのポイントが30ポイントたまったので、約束のご褒美がもらえることに。ご褒美候補の内容はこうだ。この中から一つを選ぶ。
①メ〇ミ
某有名国産RPGの単体炎系中級魔法
⇒転生先の世界に無い場合は近いものに
②スキル『錬金術』
⇒①同様、転生先の世界に無い場合は近いものに
③異世界転生の時、『ビーきち』を一緒に転生
※ビーきちの同意が必要
⇒転生先の世界でペット枠に
それぞれのプラカードを持つゴーレムが、①は左、②は中央、③は右の配置で7m間隔に並ぶ。
①から順にアピールのパフォーマンスが行われ、つい先程、終わったところだ。そして今、ユイからの指示があった通り、欲しいご褒美のあるプラカードのところに向かうのだ。
――③にはビーきちがおり、不安そうにこちらを見ている。
皆が俺に注目する中、俺は意を決して、欲しいご褒美のあるプラカードに向けて歩き出す。皆が注目してるのか、場は静寂で満ちている。
――コツ……コツ……コツ……
静かな空間の中で、俺が発する靴音がやたら大きく響き渡る。そして俺は欲しいご褒美のあるプラカードのところにたどり着いた。
【②スキル『錬金術』】
「やっぱ錬金術かなぁ。色んな事が出来そうだし、どこの世界でも使えそうで汎用性が高そうだしな!」
俺は皆に注目されて少し居心地が悪く、まだ聞かれてもないが、選択理由を述べる。
「「「……」」」
「ん?」
なんか静かだ。ちょっと反応に困るんだけど。
「ちょ、ちょっとちょっと! ここはビーきちじゃないの!? あんなに大事にしてたじゃない!?」
ユイがめずらしく焦っている。
「わ、私もちょっとこれはどうかと思います!」
アンリさんからも抗議が。――あなた、さっきビーきちと距離を置いてませんでしたっけ?
「……(ぶわっ!)」
ビーきちの方から、途方もない哀しみを感じる……
『あなたがここまで薄情だとは思いませんでした。ビーきちの純情をもてあそんだ責任はどう取るつもりですか?』
あ、初めてビーきちに出会った時に出てきたナレーションだ。あの時は初見で仲間に加えるかの選択が出てきて、虫が苦手だったから断ったんだったか(第20話参照)。
激しく四面楚歌だった。……選ばせてくれるって言ったじゃん!
「あ、あぁ~……、うん。自分がすごく薄情なことをしてるのはよくわかってるんだけど、この前アンリさんの世界にいた時、牢屋につかまって何もできなかったり、悪魔との戦いでみんなに守ってもらってばっかりでさ。まずは自分の身を守れるように技術を磨くのが先かなて思ってさ」
俺は本音をみんなに伝える。理由はそれだけじゃなく、単純に面白そうっていうのもあるんだけど、あえて黙っておく。
「この前は急だったから仕方ないわよ。足りないものがわかったみたいだし、これからそういうスキルを学べるようにしてあげるわよ?」
「大丈夫です!ユウスケさんはこれからも私が守りますから!それに、魔法だって練習すれば使えるようになりますし、一緒に練習を頑張りましょう?」
「……(しくしく)」
『周りがこうも手厚くサポートしてくれると言っているのに、それでもあなたは、ビーきちを受け入れないのですか?』
――――あぁぁぁぁっ! もう! わかった! わかったよ!!
「そ、そうだな。魔法やスキルの習得機会は今だけじゃないみたいだし、撤回して申し訳ないけど、ビーきちに一緒に転生してもらおうかな。……ビーきち、俺のこと許してくれるか?」
「……♪」
ビーきちはご機嫌に俺の周りを飛び回っている。
「まったく、最初から素直にそう言えばいいのよ」
「よかったです! みんなで一緒に頑張りましょうね!」
『命拾いしましたね。このままビーきちを見捨てていれば、あなたに魔王をけしかけるところでしたよ』
――おい! なんか物騒なセリフも交じってるぞ!?
ゴーレム達からは拍手が送られる。
なにはともあれ、場は和やかにおさまった。みんな安堵してるみたいだ。めでたしめでたし!
――俺の未来ってもう決まってるんじゃないか? なんとなく不安になる。
「それじゃあ、ユウスケとアンリの転生時にはペット枠でビーきちも転生するってことで。これで解散よ!」
ユイの終了宣言に伴い、ゴーレムやビーきち、謎のナレーションはもとの場所に帰っていく。
――あのナレーション、いったい何者……?




