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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<新入生歓迎>編
43/321

第43話 『とある宿屋の受付嬢』編の採点

「ではでは! 今回の採点、行くわよ!」


 アンリさんの歓迎会の翌日、ユイの講義を受けるため、俺とアンリさんは例の空間に集合していた。


 ちなみに、アンリさんの入塾に伴い、昨晩、俺とアンリさんに個室が用意された。結構な広さがあり、冷蔵庫や飲食類もそろっており、ベッドはふかふかですごく快適だった。アンリさんもかなりはしゃいでたな。


――ん? 俺が今までどうしてたかって?


 いつもの空間で適当にソファーやマットの上で寝てたわ。あまり気にしてなかったけど、今思うと扱い悪かったよな……まぁ、それは置いておいて、今回の世界での採点だ。


 ユイに言われ、俺はステータスカードを取り出して確認する。アンリさんも興味深そうに、俺の手元をのぞき込む。



【現在のステータス】

 優しさ 7、勇気 8、面白さ or いいこと 8

 計23


 

 なんかかなり久しぶりだな。そう言えばこんなポイント評価があったな。ユイに言ったら怒られるから、忘れてたことは黙っておこう。


「これが今回の評価点よ!」

 ステータスカードが光り、ポイントが加算される。


 優しさ、勇気、面白さ or いいこと がそれぞれ5上がった!


 

⇒【加算後のステータス】

 優しさ 12、勇気 13、面白さ or いいこと 13

 計38



「お、おお~! めっちゃ上がった!!」

 素直に驚いた!


「内容も十分よかったし、今回は長編だったからね。プラス加点してあるわ」


 いいとこあるじゃん!


「あ、あのう」

 アンリさんが何か聞きたそうだ。


「ん?」

「これって何をしてるんです?」

 ああ、いきなりこの流れじゃぜんぜんわからないよな。


「ユウスケを異世界転生させるための修行みたいなものね。このポイントをためて、成長を記録してるのよ。異世界で活躍できるよう、3つの項目を設けてるの」


「そうなんですね」アンリさんは、ふむふむとうなずいている。


「そういや、アンリさんにもステータスカードを渡すのか?」

「いえ、もうアンリはいつ異世界転生させてもいいかなと思ってるから、特に持たせるつもりはないわ」

「……俺と扱いがだいぶ違いませんか?」


――拗ねるぞ? 拗ねちゃうぞ?


「あんたが拗ねてもぜんぜん可愛くないわよ。それはともかく、アンリは色々スペックが高いのよね……」


 いったんドリンクで喉をうるおしてから、ユイが話を再開する。


「まず魔法のある世界出身なのは強みね。色々な異常現象を受け止めやすいし。アンリ自身の点で言っても、気立ては申し分ないし、こう見えて意外と心の芯も強くて、度胸もあるからね」

「そんな……私なんて全然ですよ」


 アンリさんが赤くなって照れている。


――可愛いが……非常に可愛いが! むぅ……


「まぁまぁ、そんな不貞腐れないでよ。あんたにもいいとこはあるし、あとは経験を積めばいいのよ。今回だってきちんと成長を評価してあげたでしょう?」


 そうだな。後ろ向きになっても仕方無いしな。


「うんうん、前向きに頑張りましょ」


「あ! 思い出したんだけどさ! ご褒美!」

 うっかり忘れてるところだった。


「ん?」

 ユイが首をかしげる。


「合計で30ポイントたまったらご褒美くれるって言ってたじゃん!」

 ユイは一瞬フリーズした後、

「あ、ああ~!そうね、もちろん覚えてたわよ?」


 冷や汗をかきながらユイが言う。嘘だ、絶対忘れてただろ!


「確か、ご褒美はこの中から選ばせてあげるって言ってたわね?」


 ユイがコンソールを出しタイピングすると、空中にスクリーンが現れて文字が映し出される。アンリさんがほえ~って顔をしている。ハイテクでビビるよな。


 スクリーンに映るご褒美の内容はこうだ。



 ①メ〇ミ

  某有名国産RPGの単体炎系中級魔法


 ②スキル『錬金術』


 ③異世界転生の時、『ビーきち』を一緒に転生

  ※ビーきちの同意が必要



「この中から好きなのを選ぶといいわ!」


 ユイが腰に手をあて、なぜかドヤ顔で言う。ふむふむ……どれにしようと思ってたんだっけ? 決めてた気もするけど、思い出せない。まぁいいや、今考えよう。


「質問いいか?」

 ユイが頷く。


「メ〇ミって世界によっては、というか特定の世界にしか無いだろう。そういう場合はどうなるんだ?」

「そうね。メ〇ミって名前では無いかもね。その場合は、その世界で近いものになるわ。ファイヤーボールみたいな。魔法の無い世界だったらどうしようかしらね……まぁ、その時は炎由来の何かにしておくわ」


――いつもながら雑だなおい!


「錬金術も同じような感じ?」

「そうね。その世界に合わなかったら、近いものにするわ」


 ふむふむ……


「じゃあ、最後のビーきちって、何に転生するんだ?」

「そこまでは考えてなかったわね。その世界のペット枠が妥当かしらね」


 行き当たりばったりだなおい!


「あ、スクリーンにも書いてあるけど、ビーきちの同意は必要だからね?」

 ユイが人差し指を立てて言う。


「あ、あのう」

 アンリさんがおずおずと手をあげる。


「はい、アンリさん!」

 ユイがアンリさんを指さし質問を促す。


「ビーきちって何ですか?」

「そう言えば、アンリさんは知らないか。ビーきちは、とある世界で俺が出会ったキラービー、蜂のモンスターで、俺の相棒だったんだよ」


 俺は懐かしく思いながらもアンリさんに説明する。


「は、蜂ですか……?」

 あ、もしかしてアンリさん、蜂とか虫が苦手なのかな?


「最初は俺も虫が苦手で、仲間になりたそうにしてるのを断ったんだけどさ。押し切られて(?)仲間にして、一緒に旅をするうちに仲良くなったんだよ。俺をかばって身を挺してモンスターの攻撃から守ってくれたりさ、いいやつなんだよ、本当に。負傷したビーきちの治療を医者に断られたり、住人から追い出された時は、魔王になることを決心したくらいだよ」


――あの時のことを思い出すと、今でも……


「またダークサイドに堕ちかけてるわよ。まったく……あの時も言ったけど仕方無いでしょ?モンスターは一般人にとっては襲ってくる敵でしかないんだから」


 ユイがため息をつきながら言う。


「とても大事なんですね」

 アンリさんがクスクスと楽しそうに笑う。少し気恥ずかしくなり、俺は頬をかく。


「転生にビーきちの同意が必要なら、聞いてくれないか?」

「いっそここに呼びましょうか」

「でも一度去ったら元の世界には戻れないんじゃなかったか?」

「極短時間だし、特に重要な場面でも無ければ因果律の歪みも小さいから、調整できるわ」


 ユイはコンソールを操作し始めた。



――ユイが操作を終えるといつもの大扉が現れた。扉が開き、中から懐かしのビーきちが現れた!



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