表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ファティリタス復興>編 【第3クール】
315/321

第315話 ファティリタス復興編 【第4クール】 フレイ

――東の森林・ハーピーハウス――


 ユウスケ達は、東の森林にあるハーピーハウスに来ていた。


 と言うのも、森林跡地にて――



「? どうした?」


「えっと……」

「フレイが“産卵”したの」

「今、卵を温めてるから、よければ声をかけにきてくれない?」


 それは、ルルカやコボール、そしてハーピー達をお見送りしている時だった。


 ハーピー達三人――エイーダ、ミリル、ユーノからそんなことを言われた。確かにフレイがいなかったから心配してたのだ。でも、まさかそんなことになってるなんて……。


「おお! それはめでたいな!! 行く行く!!」


 産卵って要するに、子作りだろ? いつの間にとか疑問はあるが、純粋に大事なフレイの幸せを祝いたい。


「やった!」

「きっとフレイも喜ぶね!!」

「そうね。やっぱり、キチンと会うべきよ」


 俺がそう言うと、三人はわかりやすいくらいに喜んだ。


 そして――



「なになに? 向こうに戻るの? 僕も行こうかな」

「私達も道は同じだし、途中までだけど」

「ジェシカの思うままに……」

「もう戻るんだ? じゃあ、あたしも付いてく!」

「コボールも」


「おう。じゃあ、皆で行くか」


 ベリアル、ジェシカ、ランディ、ルルカ、コボール。皆と一緒に行くことに。もちろん、アンリさんもだ。


 そうして、俺達は東の森林部にある隠れ家に来ていた。うわさのフレイにまず会いに行く。



「フレイ~! ただいま~!!」

「ミリル、エイーダ、ユーノ。よかった……皆、無事だったのね」


 まずミリルが飛んでフレイに近付いていく。フレイは、家の中で巣作りをして、卵を羽の下で温めているようだった。


 俺達を助けにミリル達が森林跡地に向かったのが心配だったのだろう。ホッと胸をなでおろしている。


 俺も近づき、フレイに声をかけた。



「フレイ。卵を産んだんだってな? 調子はどうだ?」

「――――――!? ユウ、ス、ケ? なんでここに!?」


 俺が声をかけると、フレイは常にない慌てようだった。――あぁ。男は近寄っちゃいけない系か?


「すまん。無神経だったかな……? お祝いしたかったんだけど」

「そ、そんなことないわ! えっと、その……ありがとう」


 フレイは顔を赤くしながらモジモジしている。そんなフレイと俺を、ミリル、エイーダ、ユーノはニコニコ笑顔で見つめていた。


 そして――



「おめでとうございます。――“先を越されちゃいました”……」

「もう! “ルルカより先なんて!”」

「あはは! まさか、一度でなんてね~。相性、よかったんだね♪」


 アンリさん、ルルカ、ベリアル達女性陣が声をかけていく。相変わらずよくわからない会話だけど、どうせ聞いても教えてくれないだろう。……もうあきらめている。


「いつごろ卵がかえりそうなんです?」

「私も初めてでよくはわからないんだけど、あと一月くらいかしらね」

「その頃には俺達、もういないか……」


 見たかったんだがな、子供の姿。俺がそう言うと、なぜか場が凍りついた。



「へ? なに?」

「いえ……何でもないわ」


 明らかになんでもなくはない。だって、フレイは今にも泣きそうだ。ミリル達も、眉をハの字にして、どう声をかけるべきか困ってるみたい。


「ま、まぁまぁ! ――そうだ! アンリ、今日はさ、ご馳走作ってよ!!」

「は、はい! 任せてください!!」


 ベリアルとアンリさんが強引に流れを変える。皆もこれに乗っかるように、テンション高めに騒ぎ出す。



 よくわからないながらも戻った空気に安堵し、俺も皆と協力しご馳走を作ってフレイ達と一緒に食事を楽しむのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ