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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ファティリタス復興>編 【第3クール】
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第308話 ファティリタス復興編 【第4クール】 策略

――森林跡地北の街道――



「ご機嫌よう。こんなところまで大勢でピクニックかな? 枢機卿」

「これはこれは。そちらこそ、平民とお散歩ですか? 騎士団長?」


 顔を合わせるなり、クラウディアと枢機卿のバトル――口喧嘩――が始まる。初めて枢機卿とやらを見る俺からしたら、ヘラヘラ笑いを顔に貼りつけているのがスゴく不快だった。


 俺のことを平民とか言ってるし……。別に、平民でいいけどね!


――まぁ、一応口を挟んでおくか。


「俺はユウスケ。こっちのアンリさんと二人で、この南エリアの復興を担当してる異世界転移者だ」

「アンリです。――ずいぶん物々しいですね。集落の人達が驚くので、兵を連れて帰ってください」


――おお! アンリさんも言う時は言うな!


 クラウディアはふっと笑い――


「だ、そうだ。お邪魔虫は帰ったらどうだ?」

「い、言わせておけばこの異教徒共が……っ!!」


 俺達やクラウディアに散々好き勝手言われ、もう既にキレそうな枢機卿。


「ええ! ええ! 帰りますよ! 魔族をかくまう異教徒共の殲滅が終わればねぇ!!」


「うわ。いくらなんでも見境無いな」

「だから言っただろう。頭にウジがわいてるんだ」

「話し合いすら出来ないんですね……お可哀想に」


 枢機卿の頭から、何かのキレる音がした。枢機卿が片手を上げ、前に下ろしながら――


「全軍! 突げ――」

「お、お待ち下さい! いくらなんでも、このタイミングで攻め込むんですか!?」

「えぇい! 日和おって! ――ならばっ!!」


 枢機卿が口に指をくわえ――


――ピィ~~~~~~~~ッ!!


 長い口笛を吹きならした。



「…………何のつもりだ?」


 状況に何も変化は無い。教会軍の兵達ですら困惑している。


 クラウディアは枢機卿をにらむが、枢機卿はニヤニヤするだけだ。


 やがて――



 森林跡地の方が騒がしくなる。家が燃え、煙が上がっている。


「野郎! お前、何しやがった!?」

「ユウスケさんダメです!! 今はとにかく向こうに戻りましょう!?」


「団長! 魔族達が襲って来ました!! 兵にも被害が出ています!!」

「ちぃっ!! ――貴様、ただで済むとは思うなよ?」

「ほらほら。大変みたいですよ?」


 クラウディアは呼びに来た兵から被害状況を来き、とにかく場を収めるため森林跡地へ急ぐ。枢機卿はしてやったり顔だ。


 ユウスケ達もクラウディアの後に続いた。


 何をどうやったかはわからない。だが、このツケは必ず払わせてやる!!


 

 ユウスケは枢機卿に対するドス黒い感情をおさえながら、騒ぎの起きている森林跡地へ急ぐのだった。



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