第306話 ファティリタス復興編 【第4クール】 避難施設
――森林跡地――
家の外が騒がしい。何事だと俺達は家の外に出たが、そこには予想通りの吉報が待ち構えていた。
「クラウディア様! 援軍として参りました!」
「うむ。早かったな、副団長」
「ですが――」
だが、吉報だけではなかった。綺麗な鎧に身を包む副長は、もうすぐ教会軍がここに来ることを告げる。
――ついに来たか。
「では予定通りに。皆を集落の中心施設に」
「わかった」
実は、クラフトスキルで簡単にだが、避難場所を造っておいた。クラウディアとか、今までクラフトスキルを目の当たりにした人達同様、呆れ顔だったな。どうだ? 便利だろう?
ちなみに、ダミーもいくつかある。一つだけだと狙われるかもしれないからな。
施設は大きめにつくってある。
――さらには!
今回、地下部屋も造ってみた。最悪、皆がそこに隠れられるように。結構広く造った。今までクラフトスキルを頑張って上げた成果と言えるだろう。
一晩中頑張ったせいで寝不足だが、大事な皆の命がかかってるからな。全然苦じゃない。
俺やアンリさん、ベリアルは子供達や最近ここに来てくれた大人達、そして魔族を施設に誘導した。
◆
「おねぇちゃん……」
「だいじょうぶ。ユウスケ達が守ってくれるから」
教会軍が来ると聞いて憤り、自分も戦うと言ってくれた魔族達も中にはいたが、大抵は今目の前にいるアルルやその妹達のように不安そうだった。
いくら騎士団が味方をしてくれるとは言え、自分達魔族を滅ぼそうと教会の大軍が武器を携え集団で襲ってくるんだからな。俺だって、同じ立場だったら怖くて仕方ないだろう。
だが、誰一人逃げなかった。今のアルルのように、ユウスケのことを信頼してくれているのだ。
――その期待に応えたい。
◆
「最悪の時は逃げるけど、その準備までは出来なかったな。――ベリアル。いざと言う時は頼むよ」
「りょうか――――って、やっぱヤダ」
真面目に相談を持ちかけたんだが、ベリアルは急にそっぽを向いてしまう。
「頼むよ……」
「ユウスケも生き残るの。いい? じゃなきゃ、言うこと聞いてあげないよ?」
なるほど。それでヘソを曲げてたのか。
「もちろんそのつもりだ。俺だって死にたくないしな」
「うん。ならよろしい♪」
どうやら納得頂けたようだ。よかったよかった。
「この子が産まれて来る前に――――が死んじゃったら、悲しいもんね」
「ん?」
「なんでもな~い♪ ――じゃ、頑張ってね」
ベリアルが何か独り言を言っていたみたいだが、はぐらかされてしまった。俺に手を振ると、他の皆が入ってる施設にベリアルも入って行く。
「とにかく、頑張んなきゃな……」
俺は皆を守る決意を固めながら、クラウディア達のところへと向かうのだった。




