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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ファティリタス復興>編 【第3クール】
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第302話 ファティリタス復興編 【第4クール】 教会対策打ち合わせ1

――森林跡地・家――



「ふむ……色々考えて動いてはいるようだが、教会相手ではそれではどうにもならんだろう。奴らは魔族やそれをかくまう者達を“異端”として扱う。“犠牲”が増えるだけだろう」

「そんなか……」

「あいつら、ほんとに頭固いからね~」


 俺達がやっていることをクラウディア達に話して聞かせたが、彼女らの反応は思わしくなかった。


 俺達がやっていることとはつまり、“この地に応援を呼ぶ”ということに尽きるだろう。


 ハンナさんやカイリさんらの住む村の人々。西の集落の人々。東のウォーリーさんやジェシカ達。ジョセフ達3校や、この前から割かし仲良くなった4校にも協力を要請しようかと考えていた。


 “数は力なり”で、強引に押し通せないかと考えていたのだ。既にいくつかには人が向かっている。


 しかし、クラウディアの言う通り、教会が根本的に聞く耳を持たず<異端審問>とやらを押し通すならどうしようもないのだ。これらはむしろ、クラウディア達のような話の通じる相手を想定した用意だった。


――教会がこちらに来るのは確定しているみたいだし、どうしたものか……。



 露骨にがっかりする俺にクラウディアが告げる。


「まぁ、“だからこその私達”だ。――見ろ、これを」

「? それは?」


 クラウディアはどこかドヤ顔で、高級そうな巻物を懐から取り出した。俺、アンリさん、ベリアルが注目する。


「王の勅命書だ。『軍団員は南部の砂漠化地域に住まう人々と魔族を保護すること』とある」


 クラウディアが、『どうだスゴいだろう!』と言わんばかりに胸をはっている。確かに――


「スゴいじゃないか!」

「クラウディアさんがもらってくれたんですか?」

「いや、本部長だ」

「やるぅ~♪」


 俺、アンリさん、ベリアルでクラウディアと、顔の見たことのない本部長とやらを絶賛する。


 ともかく、これがあるならクラウディア達が助けてくれる――ちょっと待てよ?



「あの~……クラウディアさん。勅命書には、“俺達を保護すること”とありますが、さっきまでのやり取りはなんだったんでしょう?」


 大変だったからな。緊張もしたし。少しくらい愚痴っても、バチは当たらないだろう。


 だが、ジト目の俺の視線を受けてもクラウディアは動じない。


「仕方ないだろう? どんな人達かもわからず、無条件に従えるか」

「勅命じゃん……」

「私は“己の信義”に反することは、例え王からの命令であったとしても従わん。――それが、私の“誠意”だ」


 なるほど……。意固地なところはあるけど、実際に味方になってくれると頼もしいな。裏切らないだろうし。


――仲良くしないとな。


「わかった。愚痴って悪かった」

「わかればいい。では、今度はこちらの“提案”を聞いてくれ」



 そうしてクラウディアは、彼女が考えている教会への対応方法を俺達に聞かせてくれるのだった。



 

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