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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ファティリタス復興>編 【第3クール】
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第299話 ファティリタス復興編 【第4クール】 夫婦?

――森林跡地・家――


 ベリアルが魔族の幹部だとクラウディア達騎士団の前でカミングアウトした。それは、皆の足手まといにはなりたくないからだろう。――なら俺は、そんなベリアルと共にありたい。


 そんな想いで、『ベリアルを受け入れられないなら、そちらとはこれまで』とクラウディアに啖呵を切った。どことなく、ベリアルは嬉しそうだ。仲間だからな。運命共同体だよ、もう。


 言われたクラウディアはと言うと、特大のため息をついた。


「威勢がいいのは結構だが、あてはあるのか?」

「いざとなれば皆で逃げるよ」


 騎士団に言っていいことかはわからないが、クラウディアは真っ直ぐなタイプで裏表は無さそうだ。ならば、話を早くするためにも、考えてることは直で伝えた方がいいだろう。


 クラウディアはやれやれと言った感じで肩をすくめてみせた。


「あいつらはしつこいぞ~? ほんとに。この世界のどこに逃げても追いかけ続けるぞ?」

「なにその超絶ストーカー。おまわりさん――じゃなかった。軍なら、そんな変質者集団、引っ捕らえてくださいよ」

「無茶を言うな。魔族退治の大義名分を掲げた教会軍を捕らえるのは、あまりに面倒だ。それを上回る理由が無い限り邪魔されるだろう。ことは政治や宗教が絡んでるのだ。――不甲斐なくもあるがな」


 クラウディアに同調するように、他の兵達も苦笑いする。


――う、う~ん。そっか……でも!


「だからってベリアルは仲間だ。決して見捨てないし、そんなことするぐらいなら、絶対見つからないように逃げ続けてやる」

「ユウスケ……」


 俺が強気に宣言すると、ベリアルが嬉しそうに微笑んだ。


――そうだ。バイラルの城とか、別空間にあるらしいし、うってつけじゃん!


 そんな算段を俺がしているところ――


「まぁ、落ち着け。驚きはしたが、受け入れないとは言っていない。見たところ、お前らは“夫婦”のようだしな。引き裂くのは難し――」

「違います! ユウスケさんとベリアルさんは、夫婦じゃありません!!」


 クラウディアの勘違い発言に、今まで静かだったアンリさんがキレている。その剣幕はスゴく、他の兵が一人、驚いて椅子から落ちたくらいだ。


「え~? 夫婦だよね~?♪」

「こら、ふざけるな」


 ワザとらしく腕を組んでくるベリアルの腕を優しく離す。――俺も命が大事だからな。ベリアルもニコニコしたまま、『そっか~♪ 夫婦か~♪ うんうん』と上機嫌に独りごちており、それ以上からんではこなさそうだった。


 クラウディアは、ちょっと気まずそうだ。


「これは、痴情のもつ――ごほん! ともかく、彼女を受け入れるためにも、まず、経緯を説明してくれ。ついでだ。この集落の成り立ちから頼む」

「おい、今何を口走りかけ――いや、いいや。話すよ。話を先に進めよう……」



 埒が明かないと、真面目モードに急に切り替えたクラウディアにツッコミたい気持ちもあるが、確かに話が進まないので、俺も真面目モードで、今までの経緯を包み隠さずクラウディアに話して聞かせるのだった。



 

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