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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ファティリタス復興>編 【第3クール】
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第296話 ファティリタス復興編 【第4クール】 軍隊の来訪

――森林跡地・家――



「ユウスケさん! 大変です!!」


 アンリさんが家にかけ込んできた。スゴく慌てている。嫌な予感しかしない。


「ぐ、軍隊が来ました!!」


 嫌な予感は的中した。まだ準備中だったのに……。ずいぶん早いな。だが、こうなっちゃ仕方無い。出迎えるしかないだろう。


「じゃあ、行こうか。――どうなるかね……」


 俺はアンリさんと二人で外に出て軍隊とやらと話をしに行くのだった。


――森林跡地近く――



「団長。思っていたよりも栄えていますね」

「ああ。信じらん……。前に来た時は更地だったぞ」

「砂ばかりでしたよね」


 クラウディアを始め、団員達は森林跡地の復興ぶりに驚きを隠せないでいた。特に、<クレイジーアップル>の木が立ち並ぶ果樹園は圧巻もので、緑や果樹が生い茂る様は、むしろ他の地よりも優れていると言えた。


 先程住民達に来訪を気づかれた。声をかけようとする間もなく、家に引っ込んでしまった。どうしようか……。


「待っていても仕方ありません。中に踏み込みませんか?」

「それはそうだが……いや、待て。出てきたぞ」


 一組の男女が連れ立ってこちらに向かってくる。女の方は緊張で表情のかたさが見て取れる。男の方はなんだが、わずらわしげだった。


 何はともあれ、話ができそうでクラウディアとしては好都合だった。



「えっと……どのようなご用件でしょう?」


 ユウスケは面倒さもあり、単刀直入に聞いた。そんな相手側は皆ポカンとしている。だが、立派な鎧を身にまとう女が前に出て名乗り出る。


「急におしかけてすまない。我々は、中央都市から派遣された騎士団だ。私は団長のクラウディア。よろしく」

「俺はユウスケ。異世界人です。で、こっちは――」

「アンリです。私もユウスケさんと同じく、この地の復興を担当している異世界人です」


 ユウスケとアンリが名乗り返すと、向こうは皆納得顔だった。


「そうか。それなら話は早い。我々は、最近復興目覚ましいと評判のこの地を視察に来たのだ」

「視察、ですか。――でも、その割にずいぶん物々しいですね」


 周りを見回しながら言う。皆、フル装備と言って差し支えない程の装備だった。


「この地には魔族が多くいると聞く。それは仕方無いだろう?」

「それを知りながらこの地の何を視察するおつもりで?」


 フル装備で戦う気満々じゃないか。


「この地の魔族に害が無いかだ」

「ありませんよ。一緒に暮らしてることからもわかるでしょう?」

「だろうな。だが、この地の人間以外はそれを知らない。だから、知るために来たのだ」


 まぁ、一理あるか。


「わかりました。ですが、そんないつでも戦闘できるような見た目で来ないで下さい。無駄に相手を威圧するだけです」

「では、どうしろと?」

「少なくとも、剣を置いて入ってください」

「丸腰でいろと?」

「はい。それが条件です」

「条件を出せる立場でもないと思うが……まぁ、いい。――みな、武器を置いていけ! 五人は残って見張りだ!!」


 クラウディアが呼び掛けると、兵達がキビキビと従う。あっという間に帯刀を解いた。


「これでいいだろう?」

「――はい。では、こちらにどうぞ」



 俺はその聞き分けの良さに違和感を感じつつも、兵達を中に案内するのだった。



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