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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ファティリタス復興>編 【第3クール】
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第287話 ファティリタス復興編 【第4クール】 いったい何なんだ?


 俺達はベリアルの様子を見にベリアル宅に向かった。――なぜか、両サイドの腕をルルカとアンリさんにそれぞれ取られている。


 歩きにくいし恥ずかしいから断りたかったが、なぜか二人の表情に余裕がなく、振りほどくのははばかられた。


 ベリアル宅に着き、ベリアルを呼ぶ。



「やぁ、ユウス……なんだい? 僕に見せつけてるのかい?」


 出迎えに来てくれたベリアルだが、ルルカとアンリさんに腕を組まれた俺を見ると、笑顔で怒り出した。


 見ると、ルルカとアンリさんも笑顔だ。だが、“笑っていない”。――いったい、どういうことだ?


「ちょっとごめんなさい」


 ルルカはそう言うと、ベリアルに顔を近づけてスンスンと匂いを嗅ぎ出した。何かに気付いたように距離を取るベリアル。だが――



「やっぱりぃ! ベリアル様の匂い!!」

「? なんのことだ?」


 ルルカがベリアルを指差してそう叫ぶ。ちょっと涙目だ。ベリアルはベリアルなんだから当たり前だろうに。意味がわからない。


「ベリアルさん! 抜け駆けなんて酷いです!」


 アンリさんも怒っていた。『ギュッ!』と引き絞られる腕の痛みで俺は悲鳴を上げる。


「アンリさん、痛い! 痛い!」

「痛いのは私の心です!!」


 苦情を言ったら逆に怒られた。腕を解かれて襟首をつかまれる。――だから、いったいなんなんだ!?



「~~~♪」


 二人ににらまれるベリアルはどこ吹く風だ。そっぽを向いて口笛なんぞふいている。――だが、若干気まずそう?


「「う~~~っ!!」」


 ルルカとアンリさんが涙目でうなっている。


――どうしてこうなった?


「すまん、聞いていいのかわからんが、何があったんだ?」


 俺がそう言うと、アンリさんに『キッ!』とにらまれた。


「ご自分の胸に手を当てて、よく考えて下さい!!」


 言われるままに胸に手を当ててみる。そして、目を閉じて集中する。が――


「――すまん。本当にわからなくて……」


 素直にそう言ったのだが、ルルカとアンリさんの反応は苛烈だった。


「もういい! ユウスケなんて知らない!!」

「ベリアルさん! 負けませんから!!」

「――ふぺっ!?」


 ルルカにビンタされた。アンリさんは涙目のままベリアルにそう告げた。そのまま二人は走り去って行く。


 ベリアルと二人、玄関前に取り残された。


「ほんとに何だったんだ?」

「――さぁ?」


 ベリアルは若干気まずそうにそっぽを向く。


「こんな所で立ち話もなんだし、少し休んでいきなよ」


 ルルカとアンリさんのことは気になるが、今は機嫌が悪いので、会いに行くのはまずそうに思う。



 俺はそのままベリアル宅でしばしゆっくりするのだった。



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