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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ファティリタス復興>編 【第3クール】
281/321

第281話 ファティリタス復興編 【第4クール】  子供の数

――魔城・食堂――



「ベリアル。君は私のことを誤解しているよ」

「何がさ? 子供、何人いるんだっけ?」


 穏やかな夕食時、ベリアルから爆弾が投下された。本人にそのつもりはなかったのだろうが、バイラルの妻達にとっては一大事なのだった。



「ミユは二人~」

「わたくしは三人産んでますわ」

「私は四人です」


 ミユ、レイラ、ヒルダが次々にそう主張する。……いやいや、ちょっと待て!


「はぁ!? なんでそんなにいるんだよ!?」

「いや、なんでユウスケがキレてるのさ?」


 ベリアルから冷静なツッコミが入るが、俺としては……俺としては、なんだか許せなかった! こんなキレイな嫁さんが何人もいて、さらに! そんなに子供がいるのに……。


 俺は思わずリンダを見る。


「私も……一人目ができました」

「……」


 リンダがほおを赤らめて言う。――あ、ヤバい。アルトじゃないけど、キレそう。うらやましすぎて。血の涙が出そう。


「魔族と人間じゃ、“当たり”率も低いでしょうに。――どんだけ頑張ったんだよ……」


 ベリアルがあきれたように言う。当のバイラルは『こほん!』とわざとらしく咳払いをすると――


「私は妻達を愛しているからね。頑張るのは当たり前さ」


 当然のように言い切った。


――クソゥ! 今すぐこいつを殴ってやりたい!


「ユ、ユウスケさん! 落ち着いて!!」

「放してくれアンリさん! すべての男の怨霊が俺にささやくんだ! 『こいつを殴ってくれ!!』と!」


 モテない男達の嘆きの声が聞こえた。――そう。確かに聞こえたんだ! でも、殴ったらさすがにマズかっただろう。アンリさんに羽交い締めされ、なんとかことなきを得る。



「なに? ユウスケも子供が欲しいの?」

「そりゃあ、種の保存は生物としての当然の欲求で――」


 ベリアルから面と向かって言われると、口ごもってしまう。欲しいけど、それをはっきり言うのはやっぱり気恥ずかしい!


 ベリアルは「ふ~ん」と言ったきり黙りこんでしまった。何かを考え込んでいるようだ。


「こ、子供達もいますし、この辺にしておきましょう?」


 アンリさんのセリフにハッとして子供達を見ると、エミリーとフランはキャイキャイ盛り上がっていた。やはり女の子なので、色恋事は大好物なのだろう。


 対面のリンダに色々と聞いては顔を赤くしていた。


「そ、そうだな。この話はこれくらいにしよう」



 そうして、その後は平和に食事を続け、夕食会はお開きになるのだった。



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