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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<とある宿屋の受付嬢>編
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第28話 とある宿屋の受付嬢【3】村近隣での戦闘

 村を出た俺は、早速村の近隣でモンスターを狩るため、散策を始めた。やっぱり、街道沿いはある程度整備されていて、出にくいと思うんだ。少し街道を外れた先にある雑木林に足を踏み入れる。


――そしてそれは正解だったとすぐにわかる。


「うぉ!初戦から複数だと!?」


 草むらや樹上からモンスターが襲いかかってきた。巨大アリやクモだ。待て、でかすぎる!

 唯一の武器、ひのきの棒を振り回す。が、中々当たらない。でかいくせに動きは早いのだ。クモの吐き出す糸に棒がからめられ、ひっぺがすのに苦労する。


「……はぁっ……はぁっ……、はぁっ」


 時に蹴りや踏みつけを織り交ぜ、なんとか倒しきった。さて、素材を剥ぎ取らないと。

――しまった。剥ぎ取りナイフと布や袋がない。近くにある石同士をぶつけて破片化し、臨時のナイフとする。比較的損傷の少ない部位を剥ぎ取ってカバンに詰める。


「前にリアル狩りゲーをやっといてよかったわ」

 某狩りゲーに似ている世界での経験が役に立った。何気にためになってたんだなぁとユイに感謝する。


「お、キノコじゃん。それにこれは食えるのか?」

 キノコや樹になっている果物を発見する。


 でもキノコって、毒があるのが定番だよなぁ……今、解毒薬ないし。一応、村に持ち帰って大丈夫か聞こう。

 カバンにいくつか詰めていく。だいぶカバンもいっぱいになってきたな。そろそろ帰るかと思い始めた時――


――ガサッ


 巨大カマキリが現れた。こいつは巨大アリやクモよりも難易度がかなり高そうだ。手のカマも巨大でこわい。人間でも簡単に切り裂けそうだしな……逃げようにもやっぱりこいつも動きが素早く、厳しそう。戦うしかないか……


 振り回されるカマをスレスレにかいくぐり、近場の岩で殴りつけたりなど原始的な戦い方でなんとか勝利をおさめた。――死ぬかと思った。


 だが、このカマはいい武器になりそうだ。ウキウキで剥ぎ取り、カバンに入らないので、適当に身体にくくりつけて持って帰り支度に入る。――大変だったけど、結構いい稼ぎになったんじゃないか?



 村に帰るとさっそく素材の換金のため商人のところに向かった。巨大アリやクモの素材を売りにかける。


「う~ん、こんなところでどうかな?」


 銀貨12枚。昨晩の宿が一泊3枚だったから中々じゃないか?ちなみに、キノコや果物は食べても大丈夫なものだったようで、非常食にする。武具屋の存在も教えてもらい、さっそく向かう。


「らっしゃい!あんちゃん見ねぇ顔だな。旅人かい?」

「ええ、訳あってパウロの丘に行く必要があるんですが、装備を整えたくて」

「どれどれ……って、あんちゃん。いくらなんでも装備が貧弱すぎるだろ……よし!うちで見ていきな。初見さんだしサービスしとくぜ」

 親切そうなおっちゃんでよかった。……おっと、忘れかけてた。


「でかいカマキリの素材なんですが、これを加工して武器にできませんか?」

「おお、ラージマンティスじゃねえか。……あんちゃん、よく無事だったな。まぁ、それはともかく、ちょって扱いにくいかもしれないが、鎌ならこしらえられるぜ」


 初回だし無料にしておいてやらぁ!のご厚意に甘える。防具も必要だからな……


 店に並ぶ防具を見せてもらう。素材の換金で銀貨12枚だったが、昨晩の宿代で銀貨3枚を返すから、残り銀貨9枚か……いや、今日の宿代を考えるとさらに銀貨3枚要るから、残り銀貨6枚で防具をそろえないと。ほんとカツカツだな。


「それならこの辺りだな……普段はもっと値がはるんだが、サービスしておいてやるよ」


 鎖かたびらとでも言えばいいんだろうか。硬そうな素材がメッシュ状になった防具だ。

 試着させてもらった感じ、少し重いけど、耐久力はありそうだ。ほんとは鎧が欲しかったけど贅沢は言うまい。サービスしてもらえただけでもありがたい。


「毎度あり! 鎌の方はまだ時間が要るから、明朝取りにきてくれ」

 親切なおっちゃんに手を降り店を出た。



 もうすっかり夕方だな。昨晩の宿に行く。そこでは受付嬢さんが今朝と変わらぬ笑顔で出迎えてくれた。


「お疲れ様です! 心配してたんですよ、お元気そうでよかったです!」

「これ、昨晩の分と今晩の分。返すの遅れてごめんね」

 宿代を手渡す。受付嬢さんは驚き顔だ。


「そんな。昨日は私が勝手にやっただけだからいいのに……」


 そんな訳には行かないと、なんとか受け取ってもらう。やっぱり、そこはきっちりしておかないとな。その後、受付嬢さんは昨晩の様に食事を手配してくれ、うまい食事に舌鼓をうつ。

 

――明日はパウロの丘に行こう。


 そう胸に決め、部屋に戻った俺は、戦闘の疲れもありすぐに爆睡するのであった。


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