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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ファティリタス復興>編 【第3クール】
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第273話 ファティリタス復興編 【第4クール】 セイレーンの仕事

――森林跡地・水場――



「さてさて。セイレーンさんはっと」


 ウンディーネの近くに家を建てて住まわせてるので向かってみた。


 この家、結構工夫をこらしてある。水場を多めにしてるのはもちろんのこと、休憩できる岩場の設置や、天気が悪くても楽しめるようにガラスの囲いをつけた水場なども用意してある。


 セイレーン達からは好評をたまわっている。


 で、今は何してるかというと――



「~~~♪」


 歌っていた。――うん。まぁ、なんとなくイメージ通りだ。


 俺が近づくとセイレーン達が手をふってきた。


「元気にしてる?」

「ええ。とっても居心地いいわ♪」


 よろこんでもらえてなによりではあるが……これでいいんだろうか? 仕事は与えた方がいいのかな?


「前の場所ではどうやって暮らしてたんだ?」

「? 今みたいにだけど」


 うむ。どうやら意味が通じてないな。


「食糧とかだよ。魚とか捕まえてたのか?」

「そうね。潜るのは得意だから」


 なるほど。じゃあ、やっぱり魚関係の仕事を与えてみるか。


「よし。でっかい生け簀を作るから、魚を育ててみてくれ」

「う~ん……よくわからないけど、いいわよ」


 俺はさっそく<クラフト>スキルで生け簀を作り、よそから持ってきた魚を入れるのだった。



「食べていい?」

「育てて増やしたらな」


 なかなか育たないってのが難点なんだよな。俺とセイレーン達が生け簀を眺めていると――



「水質がキレイ過ぎるのよ。もっと栄養があった方がいいわ」


 声をかけてきたのは、お隣のウンディーネだった。気になってこちらを見ていたらしい。


「なるほど。でも、どうしようか?」

「任せなさい」


 ウンディーネが魔法で水を生み出すと、生け簀に注いでいく。透明で違和感がないが、どことなく匂いたつような?


「養分を多く含む水を入れたのよ」

「そんなこともできたのか」


 万能だな。


「これで育ちやすくなるはずよ」

「助かる」

「さすがはウンディーネさんです♪」


 うん。ウンディーネが上手くセイレーンの面倒を見てくれそうだ。



 俺はここもだいじょうぶだとばかりに、皆に手をふりながらその場を後にするのだった。



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