第263話 ファティリタス復興編 【第3クール】 集会も無事終わり
――講義室――
「この子がアルル。アルラウネですね。こんなちっこいですがお姉ちゃんで、面倒見がいいです。植物とお話できたりします。で、この子がピア。ピクシーですね。元気いっぱいです。ガキ大将みたいな感じですかね。で、こっちが――」
「説明は端的になさい」
うわ、感じ悪っ! 説明しろって急に呼んだくせに!
俺がツンとしていると、アンリさんが前に出た。
「魔族の幹部ベリアルさんのおかげでさまざまな魔族達を呼び込むことができ、それぞれの能力を活かして森林跡地の復興に多大な貢献をしてもらってます。みんな――子供達も魔族達も、みんな私達の大事な“家族”です」
「はい、ありがとうございます」
――アンリさんには甘くね? まぁ、いいけどさ!
アンリさんは俺を見て苦笑いだった。
「という訳です、カスミさん。納得できましたか?」
「――はい」
ムスゥッ! と不機嫌全開でカスミが席につく。ドカッ! と盛大な音を鳴らしながら。ヒステリックな女ってやぁねと思ってたら『キッ!』とにらまれた。――くわばらくわばら。
「では、この流れで他校にも説明してもらいましょうか。――2校から」
「はい」
プレゼンを入れ替わる。その後は、まぁ……いつも通りの内容だった。真新しい情報もないかな。一つ、前と変わったのは、4校生徒達が魔族狩りをやめて俺達のような動植物や自然の拡充に注力しだしたことだろうか。
もともと住人の依頼で魔族狩りをやってたのに見事に手のひら返されてたからな。もう魔族と戦うのはごめんなんだろう。
まだ始めたばかりで成果としては微妙だったが、現地の人と笑顔でやり取りしているさまがホログラムに映し出されていた。
上手くいってるようで何よりだ。
◆
「質疑応答の時間としますが、全体を通してでも構いません。何かありますか?」
質問タイムに突入した。次々に手が上がる。俺は特になく、ボーッと聞いていた。
「これくらいですかね」
理事長が他に質問がないか周りを見回しており、俺はちょうどいいから今聞くことにした。
「はい、1校、ユウスケさん」
名を呼ばれ立ち上がると、皆の注目が集まった。
「後で個別に聞こうかと思ってたのですが、ちょうどいいので。皆さんの担当エリアの魔族って、どんな感じですか? 居場所に困ってるなら、こっちで引き受けたいなと」
俺がそれだけ言うと、場が静まりかえった。各校のプレゼン映像には魔族の姿はほぼ無かったから聞いてみただけなんだが……。
「答えられる人はいませんか?」
理事長がフォローしてくれるも、誰からも答えがない。
「ここでは答えにくいこともあるかもしれませんし、何かあればユウスケさんに連絡を取ってあげてください」
理事長のその言葉で締めくくられた。集会自体もお開きになる。
◆
「じゃあ、最後の3ヶ月、行ってくるわ」
「また相談に乗ってもらえると助かります」
「ええ。悔いのないようにやってきなさい」
笑顔のユイに送り出され、俺とアンリさんは転送陣の上に乗る。
最後の第4クール、頑張るとしますか!
そうして、俺とアンリさんはファティリタスへと再び転送されるのだった。




