第260話 ファティリタス復興編 【第3クール】 第3クール最終日
【第3クール最終日】
――森林跡地――
「早いもんですな~。アンリさん」
「――クスッ。おじいさんみたいですよ?」
あれから俺達はまったり過ごしていた。大きな騒ぎもない。
起きたことと言ったら、アルルやピアの仲間――つまりはアルラウネとピクシー達が移住してきたことだろうか。
◆
「アルルから、いいとこだって聞いて……」
「ようこそ。まぁ、ゆっくり暮らしてくれ」
アルラウネ達はアルルよりも小さい子が多かった。俺と話してる時にも、アルルの後ろに隠れてしまう。
「こら。ちゃんと前に出て?」
アルルがお姉ちゃんをしていた。ほほえましい。
一方――
◆
「あんた達! 遅いじゃない!!」
「いや、だって……、ピア全然連絡寄越さないし……」
「そうだっけ」とはてな顔のピア。あ~……これは忘れてたな?
「まぁまぁ。よく来たね。ゆっくり暮らしてくれ」
「お世話になります」
礼儀正しい子達だった。ピアとは大違いだ。
「さっそく作物の世話をするわよ!! あたしについてきなさい!!」
お姉ちゃんとは違うが、リーダーシップはあるようだった。
◆
で、今に至る。ウンディーネはツンデレだとバレてから子供達に大人気だった。
「こ、こら! 私はいいわよ!!」
「一緒に遊ぶ~♪」
今も、仕事を終えた子供達とプールで遊んでいる。スゴくいい笑顔だった。
「やぁやぁ。たそがれてる?」
「うん。まぁ。残り後3ヶ月くらいだからな」
「あ~。言ってたね。期間限定だっけ?」
寄ってきたベリアルと並んで子供達をながめる。
「うん。まぁ、最後まで見ててあげられないからさ」
「ここまでやれてたら後は大丈夫じゃない?」
確かにそうかもな。だが、やはり不安はある。
「人間達の意識改革――って言ったら大袈裟かな? ――まぁ、横槍が入らないようにはしておきたいかな」
「まぁね。ここがバレたら、まずほっとかないだろうしね」
そう。この世界の人間のほとんどは、魔族を追いやっているのだ。こんな光景、見過ごす訳がない。
「まぁ、それは残りの期間での課題だな。――あ、今夜、俺とアンリさん。定期集会で戻されるんだ」
「言ってたね。めんどくさいね。人間社会って」
「ほんとにな」
俺とベリアルは笑い合う。
「――あ、そうだ。ならさ。他の地域の人らの方で魔族がどうか――聞ける訳ないか。忘れて」
「聞いてくるよ。――まぁ、俺達みたいに接してるのなんていないだろうけどな。こっちに引いてこれる魔族がいるかもだし、一応聞いてみる」
「ありがと」「どういたしまして」と笑い合う。そんな時――
「ずいぶんいい感じですね? お二人とも」
「ア、アンリ!? ちょっと怖いよ!?」
「なんでもないって!! 目! 目が怖い!!」
目から光を消したアンリさんが背後から話し掛けてきて『ビクゥッ!!』とする俺とベリアル。
そんなこんなで、第3クール最終日を終えたのだった。




