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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ファティリタス復興>編 【第3クール】
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第254話 ファティリタス復興編 【第3クール】 ウンディーネの依頼

【翌朝】

――森林跡地――



「じゃ、しゅっぱ~つ!♪」

「そいや、どこにいるんだ?」


 ウンディーネを勧誘しに、俺とアンリさんはベリアルと共にウンディーネに会いに行くことに。肝心の居場所はどこなのだろうか。


「南の泉だね。結構距離があるから……ほれ!」


 ベリアルがアンデッドを3体召喚した。四足歩行の騎乗用みたい。やっぱり便利だな、この能力。


 体高が低いから軽々乗れる。横幅もあるから安定もいいし、快適だった。


 砂漠部分もスイスイ進む優れものだった。


 そうして、俺達は南の泉に向けて駆け抜けた。


――泉――



「南なんて、フラン達に会いに来た時以来だな」

「そこからだいぶ南下しましたね」


 そう。人里よりもだいぶ離れたところに泉があった。周りは草木で囲まれている。潤沢とまではいかないまでも、水の気配をふんだんに感じる。


「お~い! ウンディーネ~!」


 ベリアルが泉に向けて叫ぶ。少し待つと――


「あら。幹部様が何の御用?」


 水色の乙女が泉の中から現れるのだった。



「……どうして人間を連れてきたのかしら?」


 早速ウンディーネの機嫌が悪い。俺とアンリさんを見ながら、ベリアルに問いただす。


「ユウスケとアンリね。悪い人間じゃいよ」


『ぷるぷる。ぼくは悪いスラ○ムじゃないよ』みたいだな。まぁ、わからん人には意味不明か。


「人間嫌いのあなたがほだされるなんて、明日は雨でも降るのかしら?」

「その雨を降らしてもらいたくて来たんだ」


 おお! ベリアルも負けてない。頼りになるな。ウンディーネは『はぁ』とこれ見よがしにため息をつくと――


「いいわ。話してみなさい。聞くだけ聞いてあげる」


 これ幸いと俺達はウンディーネに経緯を説明するのだった。



「却下よ。人間に協力する気はないわ」


 話終えてのウンディーネの第一声がそれだった。あちゃ~。ずいぶん嫌われちゃってるな。


「そんなに人間嫌いだったっけ?」

「私達にとっては、戦争とかはどうでもいいけど、自然をないがしろにする人間は嫌いよ」


 なるほど。そういうことか。


「まぁ、言い分はわかる。“この世界”の人間が自分勝手に自然を破壊してきたことも聞いた。自業自得だと思うだろう。だが、今ここで生きている人間や魔族のために出来ることをしたい。そのために協力してくれないか?」

「“この世界”って、ずいぶん他人事ね?」

「実際、ユウスケとアンリは“異世界人”だからね」


――“異世界人”。そう聞いてウンディーネがさらに機嫌を悪くする。


「この世界をメチャクチャにした異世界人が今度はこの世界のために何かしたいって? 笑わせないでよ」

「そっちからしたらそうだろうが、俺とアンリさんは、その異世界人を知らない。顔も名前も、住んでた世界も知らない、まったくの他人だ。もちろん、考え方だって違うだろう」


 一緒くたにされても困る。


「それはそうかもね。でも、それをすぐに信じられる程、私はお人好しじゃないわ」

「どうしたら信じてくれる?」


 俺が問い返すと「そうねぇ」とウンディーネは悩み出す。


「それじゃあ、こうしましょう。この先の洞窟に魚人族がいるんだけど、私の<水湧きの水晶>を取られちゃったから取り返してきて。そうしたら、あなた達を信じましょう。――あ、ベリアルは手出さないでね」

「それはあまりにも――」

「いいよベリアル。――わかった。約束だぞ? 行こう、アンリさん」

「はい。頑張りましょう!」


 やることが決まってるならやるだけだ。ダメならダメでまた考えるまで。



 俺とアンリさんはウンディーネの依頼を引き受けるのだった。



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