第251話 ファティリタス復興編 【第3クール】 さすがはアルラウネ
【翌朝】
――森林跡地・家――
「じゃ、あとよろ~」
翌朝、適当な挨拶でベリアルが出発する。『ピクシーを連れてくるから迎える準備しといてね』ってことだ。
昨夜話していた通り、果樹園の近くに家を建てるべく、俺とアンリさんは<クレイジーアップルの木>が立ち並ぶ果樹園へと向かった。
◆
――果樹園――
「~~~♪」
果樹園では、アルルがご機嫌に<クレイジーアップルの木>のお世話をしていた。
――まだ数日しか経ってないのに、前よりも木が大きくなってる気がする。実もたくさんついてて、その一つ一つが以前よりも立派だ。
「おや、お二人とも。おはようございます」
「「おはようございます」」
キャシーさんもいた。いつものごとく、手伝ってくれている。俺とアンリさんは、汗をタオルでぬぐっているキャシーさんに歩み寄った。
「いやぁ、この子スゴいですね」
キャシーさんがアルルを見ながら褒め称える。ふむ。するとやはり――
「やっぱアルルのお世話の“効果”なんですか?」
「そうですね。アルルちゃんがお世話をし始めたら、スゴく元気になっちゃって」
アルルは今も水やりをしている。時おり立ち止まって木をじっと見つめていた。
「ほんとかはわからないですけど、『木とお話ができる』って言ってましたよ」
「スゴいな。さすがはアルラウネ」
「それでお世話も上手なんですね」
植物がどうして欲しいかがわかるってスゴいよな。
「今日はどうしたんです?」
「ピクシーが来るので、家造りです」
「そりゃまた、可愛らしいのが増えますね」
キャシーさんも魔族に対する抵抗は薄れてきたようだ。よきかなよきかな。
「じゃあ、始めよっか」
「ええ。あの辺ですかね?」
俺とアンリさんは場所を決めて早速取りかかった。
◆
「こんなもんかな?」
「ええ。上手くできましたね」
木造なのはもちろんのこと、ピクシーは小さいとのことで、扉や窓、家具など、大きさや取り扱いやすさに配慮した。
実際に来て使ってもらったら調整はいるだろうが、一旦はこんなもんだろう。
「後はベリアル待ちだな」
「私、お夕飯作ってきますね?」
アンリさんが家へと戻っていく。
俺は、もう少しだけ細かい調整をしてから家へと戻るのだった。




