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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ファティリタス復興>編 【第3クール】
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第247話 ファティリタス復興編 【第3クール】 食べられる幸せ

【夜】

――森林跡地・家――



「お、狼だぁ!?」

「食べられちゃう!」

「ユ、ユウスケ! 何とかしなさい!?」

「お兄ちゃんバリアーッ!!」


 ベリアルに連れられた狼男二人の登場で、子供達の間にパニックが怒こる。


――エミリー。いざとなったら俺を盾にするのね? お兄ちゃん、かなしい!


 それはともかく、俺は前に出る。


「遅かったな。夕飯はまだだろ? とりあえず、座れよ」


 俺がそう言うと、狼男二人が顔を見合わせる。


「だいじょ~ぶだって! 罠なんかじゃないから! このベリアル様が保証する!!」


 ベリアルが『ドン!』と自分の胸を叩いて偉ぶってみる。狼男達は、戸惑いながらも誘導されるまま席に座った。


 そしてアンリさんが持ってきて並べる鶏肉料理の数々。


「さぁ、遠慮せず食べてく……」


 俺が言い切る前に、狼男二人の暴食が始まった。



「あ~……悪気はないんだよ、あの子達も。――見てよ。身体、だいぶ“細い”でしょ?」

「始めてみるからよくわからないけど、確かに痩せてるかもな」

「飢えてて、肉なんて滅多に食べれなかったみたいでさ。だから――」

「わかってるって。コッコ鳥の肉はたくさんある。好きなだけ食べてもらおう。ただ――」


 拒食状態からあんなに一気に食べて、胃はだいじょうぶなのか? 身体が心配になるわ。


「こらこら。一気に食べると、身体悪くするよ~」


 あ、やっぱりそうなんだ。魔族でもそういうのあるのね。ベリアルが狼男二人の近くに行って軽くたしなめる。


 そして――


 ピトッとベリアルの動きがとまった。怪訝に思い、俺も狼男二人の様子を見てみた。すると――



 狼男二人は泣きながら肉料理を食べていた。とめどなく涙を流しながらも、料理を食べる手は止めない。


「胃薬、あったっけ?」

「はい。用意しますね」


 俺の近くに来たアンリさんにそれだけ聞くとさっしてくれた。好きなだけ食べてもらおう。それが出来ることは幸せなんだ。



 俺達は、野菜とか他の料理も彼らの前に並べていった。



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