第247話 ファティリタス復興編 【第3クール】 食べられる幸せ
【夜】
――森林跡地・家――
「お、狼だぁ!?」
「食べられちゃう!」
「ユ、ユウスケ! 何とかしなさい!?」
「お兄ちゃんバリアーッ!!」
ベリアルに連れられた狼男二人の登場で、子供達の間にパニックが怒こる。
――エミリー。いざとなったら俺を盾にするのね? お兄ちゃん、かなしい!
それはともかく、俺は前に出る。
「遅かったな。夕飯はまだだろ? とりあえず、座れよ」
俺がそう言うと、狼男二人が顔を見合わせる。
「だいじょ~ぶだって! 罠なんかじゃないから! このベリアル様が保証する!!」
ベリアルが『ドン!』と自分の胸を叩いて偉ぶってみる。狼男達は、戸惑いながらも誘導されるまま席に座った。
そしてアンリさんが持ってきて並べる鶏肉料理の数々。
「さぁ、遠慮せず食べてく……」
俺が言い切る前に、狼男二人の暴食が始まった。
◆
「あ~……悪気はないんだよ、あの子達も。――見てよ。身体、だいぶ“細い”でしょ?」
「始めてみるからよくわからないけど、確かに痩せてるかもな」
「飢えてて、肉なんて滅多に食べれなかったみたいでさ。だから――」
「わかってるって。コッコ鳥の肉はたくさんある。好きなだけ食べてもらおう。ただ――」
拒食状態からあんなに一気に食べて、胃はだいじょうぶなのか? 身体が心配になるわ。
「こらこら。一気に食べると、身体悪くするよ~」
あ、やっぱりそうなんだ。魔族でもそういうのあるのね。ベリアルが狼男二人の近くに行って軽くたしなめる。
そして――
ピトッとベリアルの動きがとまった。怪訝に思い、俺も狼男二人の様子を見てみた。すると――
狼男二人は泣きながら肉料理を食べていた。とめどなく涙を流しながらも、料理を食べる手は止めない。
「胃薬、あったっけ?」
「はい。用意しますね」
俺の近くに来たアンリさんにそれだけ聞くとさっしてくれた。好きなだけ食べてもらおう。それが出来ることは幸せなんだ。
俺達は、野菜とか他の料理も彼らの前に並べていった。




