第240話 ファティリタス復興編 【第3クール】 リンゴうまっ!
――森林跡地・家――
「つまりは冗談だったのね?」
「そうだよ! とんだ殴られ損だ!!」
フランに往復ビンタされた後、家に入り事情を説明した。ベリアルのイタズラだったと。当のベリアルはと言うと――
「うわぁ! このリンゴ、おいしいじゃん!」
「それ、外にある木から取れるんですよ? たくさんあるから、好きなだけ食べてくださいね?」
大喜びで<クレイジーアップルの木>から取れるリンゴを食べていた。アンリさんが切り分けて皿に盛ったのをヒョイヒョイつまんで口に入れては、「んまぁ!」と絶賛している。
「向こうにはリンゴは無かったのか?」
「んー。あったっちゃあったけど、あんまり甘くなくてさ」
なるほど。土地や種類によって違うんだろうな。じゃあ、こっちのは当たりか。
――<クレイジーアップルの木>。
凄まじい成長速度と繁殖力から警戒してたが、今のところ何も問題は起きてない。――というか、
「果樹園になってるな……」
「そうなの! スゴかったでしょ!?」
エミリーが嬉しそうだ。うん、確かにスゴかった。なんか見るたびに<クレイジーアップルの木>が増えてる気がする。
もともと、枯れかけていたとはいえ、この砂漠化が進む土地にあれだけが生き残ってたし、何か特別なやつなのかもしれないな。
「集落でも人気なんですよ? 最近、味もどんどん良くなってきてて!」
そう言うのは、ここから西にある集落から助っ人兼商取引で来てくれているキャシーさんだ。嫌な顔一つせず協力してくれて非常に助かっている。
というか、さっき――
「“味”、よくなってるの?」
「食べてみてください」
アンリさんから渡されたリンゴを一つ口に入れる。すると――
◆
「うまぁ!!」
「――っ! ビックリしたじゃない!」
思わず大声を出してしまい、フランに怒られてしまった。でも――
「前も味は良かったけど、これ程じゃなかったよな?」
「ええ! やっぱり愛情込めて育ててるからですかね?」
キャシーさんもリンゴを食べながらご満悦だ。
「中央都市に持っていっても売れるかもしれませんね」
「遠いから大変だけど、いつか行商してもいいかもな」
まずは街道的なのが欲しいけど。まぁ、まずはここの復興だな。
「他の作物とかはどうなの?」
「いい感じですよ。見ます?」
休憩も済んだので、俺達はキャシーさんやフラン、エミリーに、今の作物や植物の状態を案内してもらうことにする。
早速皆で家を出るのだった。




