第24話 テント内待機
「ちょっとまたお願いしたいことがあるの」
ユイは前にもまして機嫌が悪い。
なんだ? また迷惑行為か?
「ええ。でも前よりさらにたちが悪いわ」
まぁ、行ってみないことにはわからないな。
「頼むわね」
扉の向こうに背中を押された。
◆
前回と同じ、モンスターを狩ることを目的とした世界のようだ。野性的なデザインの装備を身に付けている。
今回はちょっと変わったクエストタイプだ。モンスターの大群が襲ってくるのを砦の設備も駆使して撃退するのが目的だ。
タワーディフェンスと狩りを融合した感じと言えばわかりやすいだろうか。一人でやると忙しくて発狂しそうになるだろう。
仲間とのチームワークが特に大事になるクエスト形式だな。
今回の仲間も3人みたいだ。俺は途中参加だけど、まだ開戦はしていないみたい。砦の防衛設備を整えてる段階だな。
俺もすぐさま準備エリアから砦に向かおう――おっと、忘れ物があったから準備エリア内にあるテントに入り、すぐに取ってくる。便利なテントで助かるな。
砦内では、既に仲間が設備の設置に取り組んでいた。遅れてごめん、と俺もみんなと一緒に設営に励む。
やがて、敵の第一波襲来を告げるドラが鳴った。よし、みんな! 頑張ろうぜ!!
すると、仲間のうち一人が、帰り玉という、準備エリアに緊急避難するアイテムを使って戻っていった。忘れ物かな?と俺ら残りの3人は一人欠けた状態で応戦し、なんとか敵の群れを退ける。
次の波への準備時間に入った。仲間の一人が言う。
「あいつ、テント内で休んでんじゃね?」
準備エリアに行ったきり戻ってこない一人をあやしんで言う。
「見に行くか」
もう一人の提案に頷き、俺達は準備エリアに行く。
そこには案の定、明かりの付いたテントがあった。
「サボるくらいならクエストに来んなよ」
仲間の一人がキレている。わかる、腹立つよな。
テントからは無反応だ。
とりあえず、俺はテントの前に爆弾を置き起爆する。
(仲間は若干引いている)
――が、やたら堅いのか、テントはビクともしない。
(ちっ)
テントの中から反応が。
「草」
……は・ら・た・つ~!!
クエストを受けた人なら迷惑プレイヤーを除外できるが、あいにく、このクエストはこのテント内引きこもりが受けている。
「俺、抜けるわ。こいつに報酬やりたくない」
仲間の一人が言い、俺らは頷く。受付嬢にリタイアを告げ抜けるが、せっかく会ったんだし、ということで俺ら3人は同じクエストを受けて無事クリアした。またよろ!と挨拶を交わし帰還する。
――視界が暗転する。
◆
「やっぱりアレはどうしようもないわよね……」
少し落胆気味にユイが言う。
あの手この手で抜け道を考えてくるからな。
「投票制度で除外とかあるとよくなるかもな」
俺とユイはしみじみと語り合う。
ところでお前、俺がいない間、某狩りゲーをやってるだろ、とユイに詰問する。
「え!? し、してないわよ? 私は講師よ? バカなこと言うんじゃないの!」
脂汗ダラダラに言われても説得力ないな。
「とにかく! 今回もお疲れ様! やり直したとはいえ、仲間とクエストをやり遂げたし、<いいこと>にポイントをあげる」
【現在のステータス】
優しさ 7、勇気 8、面白さ or いいこと 8
俺はリアル狩りゲーをしてるのになんてやつだ!
うらやまけしからん!




