第233話 ファティリタス復興編 【第3クール】 お別れ
――南西の集落――
「お前らには迷惑をかけたな……すまねぇ」
「申し訳ない」
「ごめんなさい……」
「い、いいって! 無事に生き返れて何よりだよ!! ――なぁ!? ジョセフ?」
「そ、そうそう! 同じ異世界からの転移者同士、これからは仲良くやろう?」
4校生徒達はすっかりしおらしくなっていた。
というのも――
◆
「こ、この異世界人達が私達を襲って来たのよ!!」
「魔族よりこいつらの方が危険極まりない!!」
「むしろ、魔族が私達を助けてくれたみたいで」
住人達が生き返った後、一斉に4校生徒達を罵倒し始めた。ベリアルにアンデッド化されていたからとはいえ、住人達の記憶にびっちりと悪印象がこびりついてしまったのだろう。
そして、自分達を生き返らせてくれたバイラルとヒルダには感謝を捧げていた。まぁ、バイラル達も迷惑を被りながらも住人達を助けたのだから、感謝されてしかるべきなのだけれども。
ベリアルはこうなることを見越して――いる訳もないか。まぁ、バイラル達の評判がよくなったのはいいことだな。
「そもそも俺達は、お前らの依頼で魔族討伐に――」
「出ていけ!!」
憐れ4校生徒達。住人から石を投げられる始末だった。
そんなことがあって、「もうあいつらは絶対助けねぇ……!」「助けに来てくれてありがとう」「僕らが間違ってたよ、ごめん……」と殊勝になり、俺やアンリさん、3校のジョセフ達に胸襟を開くようになったと言う訳だ。
そして、トラブルはもう一つあった。
◆
「リンダ! やっぱり魔族にたぶらかされてたんだな!?」
「そうね。認めるわアルト。だって、私はバイラルに惹かれてるから……」
「リンダ……」
北東の集落に逃げていた住人が戻ってきて、その中にアルトもいたのだ。
アルトはバイラルに寄り添うリンダを見つけるなり絡みに行くが、バイラルとリンダの作るピンク色空間に当てられ、気絶してしまった。
ちょっと可愛そうに思わなくもないが、エマから聞いた話だと、リンダが一度この集落に帰ってきた時、『リンダは正気じゃない!』みたいなことを言って、リンダを追い返そうとする住人達からリンダを守らなかったみたいだし、自業自得だろう。
「バイラル様。またリンダですか? 次は私です」
「ヒルダ、次はわたくしよ!?」
「違うよ! バイラル様とミユとリンダの三人でだよ!!」
バイラルとリンダのピンク色空間にヒルダ、レイラ、ミユが乱入し、あっという間に修羅場と化した。
集落の男衆は血の涙を浮かべそうな程悔しがっていたが、俺にもその気持ちはよくわかる。
「バ、バイラルさん。色々と助かりました。今度何かお礼をさせてください」
「? ユウスケ。手をきつく握りすぎじゃないか? ――まぁ、いいか。では今度、一緒に食事でもどうかな? 歓迎するよ」
「それでは俺からのお礼になりません」
「なるさ。人間の友人が我が家に来るんだ。立派な礼さ」
――何このイケメン!? これか!? この差か!?
俺はモテ男のオーラに当てられ「うっ!」とたじろいだが、「ぜひ……」と承諾させてもらった。
是非ともモテ技術をあやかりたい。
そんなこんなで皆と別れの挨拶を交わし、俺とアンリさん、ジェシカ、ランディは南に向け帰還するのだった。




