第232話 ファティリタス復興編 【第3クール】 なんとか無事に
――南西の集落――
「色欲じゅ……じゃなかった。バイラルさん、どうしましょう?」
「わざとかな? わざとだよね? ユウスケ、だったかな? 私も結構強いんだよ?」
バイラルが額に青筋を立てて脅してくる。ふーんだ! こんなにイイ女を何人もはべらせてるんだ。少しくらい嫌味を言っても、バチは当たらないだろう。
「モテない男の僻みってイヤね……」
「レイラ、言い過ぎです。生暖かく見守りましょう」
「大丈夫! これからだよ!」
前言撤回。やっぱ、イイ女は取り消し! ……でも、赤茶髪の子だけは、慰めてくれたからイイ女のまま。
そう言えば――
「そう言えば、リンダさん。アルトはいいの?」
気になったので、ストレートに聞いてみた。少し無遠慮だったかな。リンダさんの反応はと言うと――
「私はもう、バイラルのものですから……」
「えっ。それってどういう……」
「リンダは私の妻だよ。――あ、この子達もね」
「「「「え~~~っ!?」」」」
この場にいるほとんどが驚いただろう。俺も開いた口が塞がらない。恐るべしバイラル。ベリアルの言う通り、ガチの色欲獣だった。
◆
驚愕の事実に見舞われつつも、「あ、あの……住人の皆様方は……」とのアンリさんの呟きに従い、事後処理を始めた。
――って言っても、
「リザレクション」
バイラルの妻の一人――金髪シニョンのスレンダー美女であるヒルダさんが、片っ端から住人を蘇生していった。俺達は死体を一ヶ所に集めただけだ。
幸い、肉体の損傷もそれ程ではなく、死んでからそんなに時間も経ってなかったので可能だったようだ。
ただ、それだけというわけでもなく――
「ヒルダは魔力に秀でた有名貴族の出でね。訳あって私が娶ったのさ」
「簡単に言いますが、どうしたら上級貴族の令嬢を嫁にできるんですか? 教えてください、お願いします」
「ユウスケさん?」
「ユウスケ……あんたねぇ」
いつの間にかすぐそばに来ていたアンリさんが怖い。ジェシカは呆れている。俺は軽く咳払いをしてごまかした。
そう言えば、ヒルダか……。南の<インファ>村にいる『ハーピー尊い!』の変態もヒルダだったな。まぁ、偶然か。
「教えてあげようか? 後で私のところに――」
「え!? ほんと――」
「結構です!」
「ユウスケには千年早いわ」
「ジェ、ジェシカ? なんでユウスケのことをそんなに気にかけるんだ? ――お、おい。目を逸らさないでくれ! ジェシカァ!?」
せっかく人生(?)の先輩に学べる機会をアンリさんとジェシカに潰されてしまった。ランディは今まで以上に発狂していて、見るに堪えない。
何はともあれ、色々大変だったが、何とか無事に終わった。バイラル達のおかげで本当に助かったし、今度何かお礼でもしようかな?




