第23話 準備エリア内待機
「次に行ってもらうところは決めてあるの」
なんだろう、どことなく機嫌が悪いな。
前回の(あやうくダンジョンで粗相しかけた)がまだ尾を引いてるんだろうか?
「それじゃ、よろしく頼むわね」
? いつもと感じが違うけど。なんだろう。
扉の向こうに背中を押された。
◆
ここは……またファンタジーっぽいな。
自分の身体を確認すると、野性的な装備を身に付けている。ああ、また、モンスターを狩るのが目的のアレか。
周りを見渡す。
ここはどうやら闘技場の様だな。仲間は既に戦いに入ってるみたいだ。どうやら俺は途中参加みたい。
闘技場のリングには、今いる準備エリアから飛び降りて入るみたいだ。高いところから飛び降りるのか……怖いな。前のバンジージャンプで確実にトラウマになってる。
仲間は全部で3人。
だけど実際にリングで戦ってるのは2人みたいだけど。
周りを見渡すと――いた!
なんだあいつ、準備エリアでくつろいでやがる!
仲間は戦ってんだぞ!
「行かんの? みんな戦ってるよ?」
反応はない。あくびすらしている。
カチンときた。
これはちょっと教育が必要ですね……
俺はおもむろに、道具袋から小さな爆弾を取り出す。これは時限式の爆弾で、一定時間が経つと爆発する。威力はほとんどない。隣に大きな爆弾を置いて起爆するのが目的の道具だ。
これをサボりの横にしれっと置く。
やがて爆発し、サボりがふっ飛んだ。
「なにすんだよ!」
サボりはオコだ。でも俺はもっと怒っている。
闘技場のリングまでの道に小さな爆弾をいくつか置く。次々に爆発し、サボりをまたふっ飛ばした。リングに落ちていく。
「覚えてろ~……」
断末魔の叫びが聞こえる気がするが、気にしない。
俺も準備エリアから飛び降り、リングに入る。
それから戦闘し、モンスターを狩り終えた。
あのサボり野郎、ずっと逃げ回ったあげく、3体討伐なのに俺らが1体討伐を終えたところで抜けやがった。
一部とはいえ、報酬だけもらっていくとは……どこまで他力本願なんだ。
一緒に戦った残りの仲間と健闘を称え合い、またな!とお別れの挨拶を済ませる。
――視界が暗転する。
◆
「そんな手があったのね……」
ユイが感心している。
「硬直時間の長いアクションの前に置いておいて硬直キャンセルもできるし、なにげに便利なんだよあの爆弾」
メタい話でユイと会話の花を咲かせる。
「ちょっと強引で誉められたやり方では無いだろうけど、迷惑行為を止めてくれたから、私の独断で<いいこと>にポイントをあげる」
面白さ or いいこと が1上がった!
【現在のステータス】
優しさ 7、勇気 8、面白さ or いいこと 7
それはともかく。ユイ、まさか俺が別世界に行ってる間、有名な某狩りゲーをやってんじゃないだろうな……やたら詳しかったぞ。




