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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ファティリタス復興>編 【第3クール】
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第214話 ファティリタス復興編 【第3クール】説明

――東エリア・南西の集落・広場――


 広場は整列した兵士達と、それを見送る集落の住人達でごったがえしていた。兵士達の中には、ちゃっかりアルトも混じっていた。自分で言っていた通り、軍隊と協力(軍隊に便乗)してリンダを助けに行くつもりなのだろう。


 俺達が来ると、兵士達は怪訝な目を向け、集落の住人達は罵声を浴びせてきた。


「何しに来たんだよ! 及び腰の方の異世界人!」


 開口一番、挑発か。しかも、アルト、お前かよ……。軽く人間不信になりそうだ。こいつを助けなくて本当によかったと思う。


 隣を見ると、ジョセフ達が眉をしかめていた。俺達の代わりに怒ってくれているみたいだ。それか、胡散臭さを感じたか……。


「あんたらがどうなろうと構わないが、何も知らない軍隊やジョセフ達がバカを見るのはおかしいと思うから、説明に来ただけだよ」

「何をだ! 逃げたくせに!」


 俺のこめかみに青筋が立つ。――が、我慢だ、俺……!


 俺は感情を抑えながら、北東の集落で聞き知った情報を皆の前で語り聞かせた。



「う、嘘をつくでないわ! ――た、隊長殿! この者の言うことは、真っ赤な嘘ですぞ!!」


 俺が一通りの説明を終えると、集落の住人達がいきり立った。もう殺気立っていると言ってもいいかもしれない。特に、長老と呼ばれる白髭のじいさんは顔を真っ赤にしてがなりたてていた。


「信じる信じないは任せる。俺は、後味悪いのが嫌だから事情を説明しただけだ。最終的にどうするかは自分らで決めてくれ」


 俺は、もう用は済んだとばかりにこの場を去ろうとする。だが――


「ま、待ってくれ! そのバイラルという魔族の幹部が、北東の集落に対して友好的に接していることはわかった! だが、この集落から出発した異世界人――お前達の仲間が一人殺されていることについては、どう説明する!?」

「仲間が殺されてるのに悔しくないのか!?」


 隊長らしき者が慌てて俺を呼び止める。そして、追随するように住人が罵声を浴びせてきた。俺は肩越しに振り返り返答した。


「この集落の住人にそそのかされて討伐に行って返り討ちにあっただけだろ。気の毒だとは思うが、仕方無い。他の奴らは生きているみたいだし。――はっきり言って、これ以上は関わりたくない」


 集落の住人がまたギャアギャアわめいているが、俺は、言うことは言ったとばかりに広場を後にした。アンリさん、ジェシカ、ランディも続く。


 ジョセフは考え込んでいるようだったが、彼ならきっと適切な判断ができるだろう。



 俺はスッキリした顔で集落を出ていくのだった。



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