第211話 ファティリタス復興編 【第3クール】 助けに行こうぜ?
――東エリア・北東の集落――
「なぁ。助けに行こうぜ? リンダがきっと危ないよ」
「さっきの話、聞いてなかったのか? バイラルって奴にもてなされてるだけだろ」
「リンダの貞操が危ないだろ! そいつ、結構モテる奴みたいだし。リンダはあの通り、美少女で性格がいいだろ? きっと目をつけられてるに違いない!」
「その言葉、リンダさんに言ってやったことはあるのか?」
「こんな恥ずかしいこと、本人の前で言える訳ないだろ!?」
「僕なら言えるよ。――ジェシカ。君はこの世界で、いや、全世界で一番素敵だ! だから結婚しよう」
「はいはい。寝言は寝て言うものよ」
ランディとジェシカを見ていると、リンダも大丈夫な気がしてくる。もう放っておけばいいんじゃないか?
「な、ならお前は、そこのアンリさんが奴にもてなされてても黙っていられるのか!?」
「すぐに乗り込むに決まってんだろ。ふざけんな」
「ユ、ユウスケさん……そんな、皆の前で」
アンリさんが頬に手を添えて照れている。アンリさんに手を出す奴がいたら、全力で成敗しにいく自信が俺にはあった。
「それと同じだよ! 俺も!」
「でも、リンダさんはお前の大事な人だろ? それに、前に俺の知り合いの異世界人がちょっかいを出しちゃってるから、俺達異世界人が行くと余計な火種になるだろうが」
安全第一忘れずに。皆のお願いを聞いていたら命がいくつあっても足りないしな。
アルトは「うぐぐ……!」とうなり、最終手段に出た。
◆
「頼む! 力を貸してくれ! 一人じゃ心細いんだ!」
「途中までよかったのに、最後で台無しだよ!」
土下座で頼みこまれて心が揺らいだが、最後の一言でさめてしまった。そんな時――
「お~い! さっき、中央都市からの軍人達が南西の集落に入って行くのを見たぞ!」
集落の外に出ていたのだろう住人が広場で騒ぎ立てると、どうしたどうしたと皆が集まり出した。――よりによって、このタイミングでか。
嫌な予感を感じつつも、皆が集まってる広場に俺達も向かうのだった。




