第21話 『虫使いの魔王』が生まれるかもしれない件
「次は前回の続き、行ってみましょうか!」
毒虫を仲間にしたところだよな……え~
「色々と受け入れてみるって言ったばかりじゃない。案外仲良くなれるかもよ?」
そうだろうか。
「じゃ! 行った行った!」
扉の向こうに背中を押された。
◆
俺が着くと同時、毒虫が勢いよく馬車から出てきて、俺の周りを飛び回っている。どうやら喜んでくれているみたいだ。
戦いの時の傷が心配になり、手元にあった傷薬を塗ってあげる。見るまに傷が塞がっていった。よかった、虫にも効いて。毒虫も喜んでいるようだ。たまに俺の肩にとまっている。――俺の鳥肌がひどい。
図鑑で調べると、キラービーというらしい。群れで襲ってくるので注意が必要と書いてあった。毒虫と呼び続けるのもかわいそうなので、『ビーきち』と名付けることにした。とても喜んでくれているみたいだ。――スキンシップで俺の鳥肌がひどい。
それから俺達は、少し離れた宿場町を目指して、馬車での旅を続けた。途中、出てきたモンスターをビーきちと二人?で倒し、夜には二人?で鍋を囲んだ。どちらかが寝る時には、寝ずの番を交代交代で行った。
目的地も近づいてきた頃、大変なピンチが訪れた。マッスルベアーという強敵と戦っている時、ふいに死角から、別モンスターが飛び出してきて、俺に攻撃をしかけてきたのだ。
ピンチを救ってくれたのは、ビーきちだった。身をていして、モンスターの攻撃から俺を守ってくれたのだ!
「ビーきち!!」
俺は大声で叫び、怒りに任せてモンスター達を剣で切り捨て、すぐにビーきちのもとにかけ寄る。
「おい! しっかりしろ! 嘘だろビーきち!!」
必死に傷薬を塗り、覚えたばかりの治癒魔法をかけ続けた。
――あなたを守れてよかった……
ビーきちからそんな声が聞こえたような気がした。
応急処置をして、近くまで来ていた宿場町にかけこむ。なんとか医者を探してビーきちの治療を頼むも、信じられない一言が。
「モンスターなんて治療できませんよ」
それは明確な拒絶だった。「そこをなんとか!」と頼んでもダメだった。別の医者に頼んでも、みな同じような反応だった。
俺とビーきちは追い出されるように宿場町を出た。
それから俺の必死な看病の甲斐もあって、ビーきちはなんとか峠を越え、次第に回復していった。
だが、俺の中では、消化しきれぬ憎しみの炎がメラメラと燃え盛っていた。
――人間達を許さない。
それが後に、『虫使いの魔王』と呼ばれる災厄の魔王の誕生だっ――
――急速に視界が暗転する。
◆
「ちょっとちょっとちょっと!!」
なんかデジャヴ。ユイがオコだ。
「仲良くとは言ったけど感情移入しすぎ! そりゃまぁ、気持ちはわからなくもないけど……だからと言って、ダークサイドに落ちるの早すぎよ!」
ぷいっ!
ユイも大事な人が死にかけてる時に、周りから冷たくされてみればわかるんだ!と俺はそっぽを向く。
「まったくもう……あんただって最初は『毒虫のモンスターだ!』って嫌がってたじゃない。普通の人からしたらモンスターは敵なんだから、自然な反応よ」
まぁ、確かに。普通はモンスターを仲間にすること自体が無いかもな。ちょっと急すぎたかもな。
「こういうのは時間が要るのよ。まぁ、大事な仲間のために一生懸命奔走したしね。<いいこと>にポイントをあげる」
面白さ or いいこと が1上がった。
やったぜ!
【現在のステータス】
優しさ 7、勇気 7、面白さ or いいこと 6




