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異世界転生したくてもさせてもらえない件  作者: 転生希望のブラック会社員
<ファティリタス復興>編 【第2クール】
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第183話 ファティリタス復興編 【第2クール】 それからの日々

――森林・ウォーリーの家――


 それからは平和な日々が続いた。警戒していた魔族嫌いな村人の嫌がらせはなかった。


 ジェシカ達食事会組は、あれ以来、ちょくちょく遊びに来てくれるようになった。



「ふ、フレイちゃあ~ん!」

「ピィッ……!」


 ヒルダが遠目にフレイを見つけると、全速力で駆け寄ってくる。フレイは普段の毅然とした態度からは想像できない変な悲鳴を上げて、すぐに飛び上がり空中へと退避した。


「ふふふ……これ、わかる?」


 ヒルダは不敵な顔で、何か先端に重りのついたヒモを取り出し振り回し始めた。それを見た俺やジェシカが青ざめる。そう、あれは――


「やめぃ! “ボラ”禁止! 狩り道具だからそれ!!」

「あんたは! もうテリーよりもやっかいよ、正直!!」


 ヒルダが手に持つボラを俺がむしり取り、ジェシカが背後からヒルダを羽交い締めにする。そうして、なんとか事はおさまった。



「普通に来てくれ。頼むから」

「これが私の“普通”よ?」

「威張って言うことか! “あんたの普通はみんなの異常”なの! ――ほら、フレイだって怯えてるじゃない」

「べ、別に怯えてなんか……」

「フレイちゃ~ん!」

「ピイッ! ――もうやだぁ!!」


 またヒルダがフレイに襲いかかろうとし、フレイは涙目で俺の背に隠れる。――そんなに怖いなら、強情張らなければいいのにな。


 そういうちょっとした問題はあったが、特に大きな問題は起きず、時は流れていった。


 西の森林跡地にいる子供達の様子もたまに見に行った。付いてきたがる魔族の皆も連れて。


 当初は一歩引いていたキャシーさんとも、今やすっかり仲良しだ。やっぱり、お互いを大事にできれば人間も魔族も関係ない。俺はそんな自分の考えに自信を持てるようになるのだった。


【それからしばらく経ち】


「ユウスケさん。そろそろですね」

「ああ。二回目だな」

「? 何が?」


 皆で夕食を食べてる時、フレイ達に、例の集会――四半期毎にある理事長の呼び出し、もとい成果報告、情報交換会――について話して聞かせた。


「ユウスケ達も大変ね~」

「まぁな。ぶっちゃけダルい」

「ユウスケさん。理事長さんが見てるかもしれませんよ?」


 アンリさんの脅しを、そんなまさかハハハ!と笑い流そうとする俺だが、ふと背筋に寒気を感じた。あの婆さんならなんでもありかもと思い直す。



 そうしてその日の深夜、俺とアンリさんは例の講義室に転送された。



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