第18話 休憩
「ちょっと疲れたな」
「まとまった休憩もなく、一気にやっちゃったからね」
ごめんね、とコスプレ女が謝る。
「ブラックな会社勤めより、こっちの方が全然いいけどな。なんだかんだあったけど、楽しかったし」
前は、週明けに会社行きたくなさすぎて、日曜の夜に鬱を発症してたしな。夕方くらいにある国民的アニメは社会人には鬱の象徴だわ。これがあるってことは、明日会社か……みたいな。
「前向きなのはいいことだわ。そうだ、出前取ろうと思うんだけど、何がいい?」
ありがとう!ちょっと腹減ってたんだよ。でも……
「嬉しいんだけど、今、俺、金持ってないから悪いわ」
っつーか今、どんな状況なの俺?「もう向こうにあんたの身体無いから」みたいに言われてた気がするけど。
「言ってなかっけ? あんたをこっちに呼ぶと同時に、全財産も受け取ってるから平気よ」
え、なにそれ?
「どうせもう現実には戻れないし、いいでしょ?それに、たいして貯金も無かったし」
悪かったな! どうせ安月給のブラック社員だよ。
……まぁいっか、現実にあんま未練ないし。
「じゃあ、ラーメン食いたいな」
OK~とコスプレ女。出前を呼んでくれてる。
ってか、ここに出前来れんのかよ?
「ここは現実と異世界の狭間みたいなもんね。さすがにここまでは入れないから、出前が来たら玄関に受け取りに行くけどね」
玄関とかあったのな。
それはともかく、いつまでもコスプレ女ってのもな。
「なぁ、名前はなんていうんだ?」
「私?」
自分を指差していう。
「そうね~、色んな名前があったわよ? 今はユイって名乗ってるからそう呼んで?」
意外と普通の名前なんだな。
それはともかく、色んな名前って?
「私も元は転生者だからね。転生する前や後、今の職に就くまでに色々あった訳よ」
なにそれ、はじめて聞いた。
「夢にケチをつける気はないけど、異世界っていっても、別にそんなにいいことばっかじゃないわよ? 現実みたいな社会的ストレスはあまり無いかもしれないけど、命の危険はあっちの方が多いし」
まぁそうだよな。
「でも楽しいことも多いから、お試しじゃなくて一度経験してくるのもいいかもね」
そんなこんなで久しぶりにまったりと過ごしたのだった。
……ここに住んでもいい気がしてきた。
ユイに追い出されるだろうけど。




