第10話 大縄跳び
「ついにあと1ポイントで異世界転生に……!」
つらかった……でももう少しだ!
「お試しだけどね~」
つめのお手入れをしながらコスプレ女は言う。
「じゃあ、頑張って~」
扉の向こうに投げられた。
◆
お、またファンタジーじゃん♪
MMO-RPGってやつかな。
カッコいい装備も着てるし!
今回は仲間も大勢いるみたいだ。
頼もしいね!
「じゃあ、レイド始めるぞ~」
リーダーがみなに呼び掛ける。
レイドってのは、強大な敵をみんなで協力して倒すやつだったっけ?
戦闘が始まった。
とあるタイミングで指定地点にたどり着けないと即死
指定時間内にボスに一定以上のダメージを与えないと即死
一人でも死んだら最初からやり直し
――1時間後――
「お前、やる気あんの?」
リーダーからだ。わ、悪気は無いんだよ!
ただ、覚えるのに手間取ってるだけで……
大勢の仲間からの視線が痛い。
「こいつ、外した方がいんじゃね?」
「だよね~」
「予習してないとか舐めすぎ」
し、仕方ないじゃん! 今来たばっかだもん。
凄く悲しい気持ちになる。
「あ、来たか。おーい!」
なんか強そうなのが来た。
……俺と入れ替わったら一発クリアされた。
泣いた。
――視界が暗転する。
◆
「つらい、つらいよ~……」
「お~、よしよし」
背中をさすってなぐさめられている。
「今回は微妙ね~ポイントどうしようかしら」
困ってるみたいだ。
「何度失敗しても諦めないで自分からは降りなかったからね。勇気にポイントをあげるわ」
コスプレ女に恋しそう。
【現在のステータス】
優しさ3、勇気5、面白さ2 計10 ついに異世界転生だ!




