第一話 仲良し
僕たち、椎名要、齊藤和奏、望月美麗は、親同士の仲がいい事や同い年ということがあって、赤ちゃんの頃から仲が良かった。それは、毎日のようにあそぶほど。
もちろん、小6になった今でもそうだ………。
「やっほー!今日、誰の家で遊ぶ⁉やっぱ、要⁇」
この、耳を劈くような声は和奏だ。
「和奏、うるさい………。」
少し暗めなのは、美麗。
「失礼な、うるさくないし!美麗が、暗いんだよ!」
「暗くない!」
見ての通り、和奏は元気で、美麗は暗く、挑発に乗りやすい。が、すごく頭がいい。テストで100点など当たり前だ。間違えた問題があったとしても、記号の付け忘れや凡ミスだ。まあ、とにかく天才なのだ。
「で、誰の家で遊ぶかだっけ?」
「そう!今日は、私の家でもあそべるんだけど…。」
そして、ぼくの役目がこうして口論になりそうな二人を、話題をそらして落ち着かせることだ。
「私は、どっちでもいいよ…。」
「俺も。でも、美麗の家から和奏の家って遠いよね?」
「うん。ちょっと…。」
「じゃあ、今日も要の家で!」
「分かった。」
「うん。」
美麗と和奏の家が遠いことから、僕の家になることがほとんどだ。
「お邪魔しま~す!」
「お邪魔します……。」
「あら、いらしゃい!ケーキあるけど、食べる?」
「食べる~‼」
「食べたい……。」
「は~い。」
こんな感じで、母さんともすごく仲がいい。
「じゃあ、部屋行ってるから。」
「用意出来たら持っていくわね~。」
「ん、よろしく。行こ。」
「相変らず広いね~。」
「羨ましい…。」
ちなみに、僕の家はお金持ちの部類に入る。父さんの仕事は、どこかのIT会社の社長だそうだ。
そして、和奏のお父さんが副社長、美麗のお父さんが社長秘書だ。
「二人の部屋も広いじゃん。」
「要はレベルが違うよ……。」
「そうだ、そうだ!」
「まあ、いいか。で、今日はなにする?」
「んん~……。」
「……和奏の勉強。」
「………、はあああ⁉」
「和奏のお母さんに……、頼まれた。」
ああ、そういうことか。
和奏は、とてつもなく頭が悪い。だから、たまに和奏のお母さんは美麗に勉強を見てくれと、頼まれるのだ。
まあ、和奏は全くと言っていいほどやる気がないけどな………。
「じゃあ、やるか。」
「いやいやいや、ちょっと待ってよ!おかしくない?あそびにきたんだよね⁉」
「日頃から、勉強しないやつが悪い。」
「ん。要の言うとうり。」
「そんなああ………!」
「さ、やるよー。」
「もお、無理~………!。」
「早いよ…。」
「まだ、十分しかたってないよ。」
「嘘だ‼」
「ふふっ、元気ね~。ケーキ、食べるかしら?」
「‼ 食べる!要ママ、マジ天使、女神さま!」
「あら、調子のいい事!」
「そんなことないよ~!んん~、おいし~!」
「良かった!」
「食べたら勉強………」
「はいはい、分かりました~。」
適当すぎだろ………。
まあ、和奏にしては頑張ったよな。教科書見るだけで、発狂するやつが…。