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WISH and DREAM  作者: 樋夜 柊
IKNOW編
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第五十二話 覚悟と終止符

 僕はナイフを斜めに払った。男はのけぞってそれを避けるが、素早く回転して右足で思いっきり蹴り飛ばした。


 ズドン‼


 男は建物にぶつかって、寄りかかるようにして倒れた。そして、一瞬驚いた表情をして、

「・・・っ‼ クラウンがやられた。反射神経でどんな攻撃も通じないあのクラウンが負けた・・・・か・・・・」

 僕は男を睨みつけて言った。

「もういいだろ。負けを認めろ! こんな戦いもう無意味だ‼」

 と言った。すると、

「・・・そうだな」

 そう言って立ち上がって、男は目を瞑り言った。

「たしかにもう終わりだ。俺らの負けだ。認めようじゃないか」

「んじゃ・・・」

「だが、それがどうしたんだ? 俺らは負けた。この勝負に勝っても別の奴が俺を倒す。それはわかった。んじゃ、降参しろって? 冗談だろ? 俺の仲間が一生懸命ここまで戦って、倒れていったんだ。なら、それは俺も同じだ。それが『ロード』の威厳ってやつだろ⁉」

 その言葉と場の雰囲気に覚悟決めた僕でさえ半歩下がってしまった。だが、逃げたらダメだとまた踏ん張り直して、ナイフを構えた。

「ロードって、リーダーってことだよな。威厳か。そうだな。僕もチームのリーダーだから、わからなくない。たぶん、僕が君と同じ立場だったら、同じことを思い、同じことをしていた。おそらくな。僕も認めるよ。あなたのカリスマ性を。だが・・・いや、だからこそ、ここで終わらせる‼」

「いいだろう‼ 倒して見ろよ、小娘‼ 小さなチームのリーダーが‼」

 僕は走り出す。そして、

「・・・臨時即席必殺‼」

 僕は片足で思いっきり跳んで、右手でナイフを握る。一方、男は笑って、

「自己暗示‼ 奥義・・・・」

 そう言って、拳を握って構える。そして、

「重鉄拳‼」

「覚悟の一撃‼」

 と跳んで思いっきり男に叩きつけた僕の右手で持ったナイフと男の拳がぶつかり合った。

 男の拳は固く、強かった。ナイフの刃ですら、弾き返そうとしていた。しかし、

「負けない‼ そんな暗示で作った力なんかよりも、僕の覚悟が強いんだ‼」

 そう叫んで、もう片方の手も添えた。両者一歩も譲らない一撃の戦い。しかし、時間が経つにつれ男の力はみるみるうちに弱まっていき、そして、


 ズシャ‼


 僕のナイフが男の身体を斬りつけ男は倒れるのだった。

 僕は倒れた男を見ると、笑って、しかし、眼に涙を浮かべて、

「・・・・まさか、俺が自己暗示による強化の時間切れが来るとはなぁ。もう戦えないよ。完敗だ」

「あなたは強かった。この力が無ければ負けていたよ」

「よく言うよ。・・・・昔、まだ少年が王国にいた時。少年はある冒険ゲームで遊んでいたんだ。ロードというリーダーと発明家のクエスタント、ピエロのクラウン、その他にもユニークな仲間とともに世界を救うようなそんなゲームだ。憧れだった。だから、あいつらにも同じあだ名を与えた。おい、女。このロードを倒したんだ。絶対王国の奴らに負けんなよ」

「あなたは僕を始めから女だって思って戦ってたよね」

「・・・当然だよ。そんな目の色が美しい男がいて・・・たまるか・・・」

 そう言って、男は目を瞑った。


戦いが終わって、数週間後。

 あれは驚いたことに一日の出来事だったようだ。

 組織IKNOWは戦いにより、大きな怪我をしたものの、死んだ者は勿論、驚くべきことは致命傷となった者は一人もいなかったことだ。正直この情報を聞いた途端、思わず怪物かよと思ったのはきっと僕だけじゃなかったはずだ。

 そして、島の兵士による事情聴取で、組織のいろいろなことがわかった。目的やなぜその目的にいきついたのかという理由。

 まぁ、その目的と理由は僕らが聞いていた通りの話であまり驚かなかった。

 と、ここまでがIKNOWの後日談。ここからは僕らの後日談だ。

 翌日ギルドに行くと、僕ら『WISH and DREAM』とフウさんは胴上げされた。マスターにもよくやったなと頭を撫でられ、ラットとフウさんはそれはもう恥ずかしそうにしていた。

 新しい人もいた。というか、古株でこのギルド一、つまり、あのフウさんをも凌ぐほどの実力者と言われているミィの師匠が現れた。

 長期依頼に行っていて顔を出せなかったらしい。よろしくと僕は握手をしたが、声がきれいで、髪も綺麗な黒髪のお姉さんだった。どんな戦い方をするのだろうと少し気になってしまって、僕も変わったなと少し苦笑してしまった。

 一方、カレンはナイフが砕けてしまったらしく、一緒に新しいナイフを買いに行った。正直どんな戦いをしたらそうなんだよとも思ったが。

 僕はというと、あれから身体が光り出すなんて奇妙な現象が起きることはなかった。まぁ、当たり前なんだろうけど。

 そんなこんなで、二カ月くらいが経ち、

「さて、そろそろじゃな・・・」

 というマスターの呟きがたまたま近くにいた僕が耳にし、ラット、タクトが、

「おぉ、そうか。その時期か・・・」

「腕が鳴る」

 とか言い出して、僕は首を傾げていると、

「お主ら‼ 準備はできとるか‼ 今こそ名を上げよ‼ ギルド、昇格合戦開始じゃ‼」

 とマスターが腕を上げそう言った。


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