第3.5話 依頼と対決
四話を読んだ人へ
すみません、追加で短編書きました。ぜひ読んでください‼
これから読む人へ
どうか引き続き、お楽しみください
「さて、今日はどうする?」
「う~ん」
あの依頼から一週間、カレンの傷は少し跡が残ってしまったものの自分の感情系SC『癒し喜び』を使ってすっかり良くなった一方で、ラットはリミッター解除をした事で徹夜明けのような疲労感がしばらく続くと休日をしばらくとり、タクトは喉がまだ痛いと同じく休んでいた。
だから、カレンとグミ、そして僕は依頼書がたくさん貼られている依頼ボードの前に立ち、各依頼を見ていた。
すると、そんな僕らに、
「ねぇ、ねぇ‼ あなた達が最近できたチーム『WISH and DREAM』のエマとカレン⁉」
「え?」
僕が振り返ると、そこには銀髪で黒のキャップをかぶった少し小柄の女の子が立っていた。
「そうだけど君は?」
「私はミイ‼ ミイ・カーメラ‼ 『リベリオン』っていうチームに所属してるんだ‼」
そう言ってミイと名乗った彼女は笑った。
「んで、何か僕たちに何か用?」
僕はそう聞くと、ミイは笑って、
「ねぇ、私と勝負しない⁉」
そう言って僕達の顔を笑って見た。
『勝負』と言っても、内容は別に戦うわけではなく、同じ依頼を受注し、どちらが早く終わらせられるかという勝負だった。そういうのは別にギルド内では珍しくないようで、それを皆は『クライアントデュエル』というらしい。
そして、依頼内容は『迷子猫コロの捜索』。依頼人は六歳くらいの少女だった。その少女に猫の事を聞くため家に尋ねると、
「お姉ちゃんたちが探してくれるの? お願い‼ 私の家の猫が先々週から帰ってないの‼ お願い、探して‼」
と写真とメモを受け取った。写真にはその猫の顔だけがでかでかと移されていて、胴体の様子は移されてなかった。そして、メモには猫の詳細が書かれていて、いつも食べている餌の情報、茶色の猫だという情報、そして、いつもいる場所などいろんな情報が書かれていた。
依頼を受注し終わった僕とミイは、外で待ってもらっていた、カレンと、
「・・・えっと、誰?」
そう言って、僕はミイの隣にいた赤い眼鏡をかけ、白いつば無し帽子をかぶり、赤いチョッキと、青いジーパンをはいた茶髪の女の子を指さした。すると、
「あぁ、この子はケイ‼ ケイ・トールス‼ 君ら二人だし、この子も連れてっていいかな?」
僕は断る理由はないと、
「いいよ。これで平等だな」
と頷いた。
「えっと、うちのギルドの森の中ね・・・」
『主にいる場所』と書かれている所にはそう書かれていた。
「森の中とか、どんな猫だよ・・・」
と僕は苦笑してそう言ったが、正直笑い事ではなかった。僕たちのギルドは山の中にあるのだが、そこではよくいろいろな熊や狼のような強い肉食モンスターがよく現れる。西の洞窟だって近くにある。その洞窟では『白虎』が守っていると言われている洞窟で肉食獣がたくさんいる。
(急いで見つけないと‼)
僕は少し焦って、猫を探した。
数分後、
「・・・これ・・・なのか・・・」
数メートル先に写真の猫を見つけた。ただ、これなのかはわからなかった。
正直僕は遠目からはっきり見える大きさから、猫じゃなくて、
「魔獣だろ・・・」
僕はそう呟いた。ただ、なぜこれだと思ったかというと、顔が写真と似ていたのだった。
「・・・どうする? エマ」
そうカレンが話しかけてきたその時だった。
「あ! いた‼」
そう言って現れたのは、ミイとケイだった。
「いや、ケイの推理力はすごいねぇ!」
「別に」
そんな会話をしている二人に、茶色の猫はキシャーと毛並みを逆立て威嚇していた。にもかかわらず、ミイは笑いながら、
「そんなに怒らないの‼ ほら、お手‼」
などと笑いながらそう言ってきた。すると、ミイにお手・・・というか、猫パンチをした。
「ミイ‼」
僕は慌てて飛び出した。すると、ミイは木に激突しつつ、
「いたいなぁ、もう。悪い子はお仕置きです‼」
バァァァン‼
そんなとてつもない音が森中に響いた。
「な、なんだ」
あまりの音にしばらく、耳鳴りがする中、僕の前に広がる光景は、手を合わせているミイと、耳に手をあてて音を遮断しているケイと、怯えている猫の姿だった。
そして、僕に気付いたミイが
「あ、これで私の勝ちでいいよね⁉」
そう言ってピースをして笑った。
身体強化系SC『合掌強化』。それが、ミイの能力だった。
「昔から人より拍手の音が大きくて、それが強化されたらしいんだよね」
と頭を掻きながらそう言った。
依頼は勿論成功し、女の子に猫を渡して、今ギルドでミイとケイは報酬を分けていた。
「良く分かったね、猫の居場所」
そう言うと、少しビクッとしながらも、
「ま、まぁね。直感ってやつ」
と少しひきつった表情で笑っていた。僕とたぶんカレンも、その様子に、
(何か様子が変だな・・・)
と思っていると、グミが、
「・・・推理強化」
と呟いた。それに、ミイはビクッとまた反応して、じっと見つめるグミに
「な、何の事かな・・・」
と目を逸らしてそう言った。ちなみに、グミが話せることは皆知っていた。
「グミ、推理強化って?」
「知識系SCに近いけど、少し違うSCで、身体強化SCで推理力が強化されたSCさ。たぶん、君がそのSCの使用者だね?」
そう言って、ケイを見た。すると、ケイは頷き、その説明を求めるよう僕はミイを見ると、
「えっと・・・」
と言って、笑ってごまかした。それに僕は片手を出して、
「報酬金。半分もらうけど、文句はないよな?」
そう言うと、ミイはしぶしぶ僕とカレンに依頼の報酬金の半額を渡したのだった。




