第三十八話 サイキックと氷叫
「相棒なんていたんですか⁉」
「うす。自分、マキの姉御のサイキックやらせてもらっているリョウドルト・ウィリルっす。リョウって呼んでください」
「おい、リョウ! 遅刻とはいい度胸だなぁ‼」
「す、すいやせん‼ 姉御‼」
そう言って、頭を下げる身長が二メートルの筋肉の塊を見て鼻で笑ったマキさんは、
「まぁいい、チャンスをやろう。お前の前にいる三人を倒せ」
そう言うと、大男も鼻で笑って、
「冗談でしょ、姉御。六人の間違いではないですか?」
大男は顔を上げて言ったその時、
ドンッ‼
と銃声が聞こえた。
「おい! 敵を目の前に背中向けるとぁ、いい度胸じゃねぇか‼ あぁ⁉」
と叫んで大男の背後にいた男がそう言って銃を撃った。すると、大男は後ろをゆっくり振り返り、
「・・・痛いじゃないですか。あんた、その小さな鉄の塊の痛さわかんねぇでしょ」
そう言ってハンマーを持った男の背中はさっき撃たれたのか赤くわずかに出血していた。
「お、お前なんで立って・・・・」
そう言いかけた男は一瞬で遠くにあった貧民街の家の外壁にぶつかった。
「まぁ、この痛みの数百分の一くらいだ。覚えておけ」
そう自分の二倍くらいの大きさのハンマーを前に持ち上げそう言った。そして、マキさんは、
「あいつのSCは『脚力強化』。尋常じゃない速さとあのハンマーで相手を吹き飛ばす」
そう言って笑った。
◇
(なんなんだ、こいつは・・・)
俺が凍らせようとしても、当たらない。アカネの刀も、コールスの銃弾も。全く当たらない。そして、当たったとしても、それを否定するかの如く、全く聞いていないかのように無傷で、すぐ立ち上がる。そして、
「あれ? 死ぬかと思った」
というのだった。
「なら、さっさと死ね‼」
そう言ってコールスは銃を撃った。しかし、当たらない。
(・・・いったい、どうしたら勝てる。どうしたら倒せる)
俺は前を見る。そして考えた。とその時、
「・・・るあぁぁぁ‼」
ズドンッ‼
そんな叫びと共に、貧民街の建物が崩れる。そして、崩れた方を見ると、
「ふぅ~。たく、やっと抜け出せそうだ。どんだけ複雑なんだよ、貧民街は」
そう言って現れた奴に俺はため息をつき、少し笑う。そして、
「おせぇぞ、タクト。何分遅刻だ。いい加減直せと何度言ったらわかる」
と言って頭をかいて現れた男にそう言った。
「おぉ、ラットか。てか、遅刻してねぇ。仕方ねぇだろ。今の今まで捕まっていたんだからな」
「関係ない。言い訳後で聞こう」
そう言って、前を見る。
「んで、戦えるか? タクト」
「あ? 当たり前だ。お前こそ、大丈夫か?」
そう言ってお互い顔を見てにやける。なんでか、さっきまで考えていたことが、どうでも良くなった。なんとなくだが、勝てるような気がした。そして、
「おい、コールス、アカネ。お前は先行っとけ。こっから俺らがやる」
「え? でも・・・」
「どこに行く? もしかして、この先の事かな?」
という男に対し、俺とタクトは、
「「ご名答‼」」
と俺は足を凍らせ、タクトは叫び、男を吹き飛ばす。
そんな連携技に驚くアカネに俺は言った。
「そうか、アカネ。お前は知らないんだったな。氷叫。俺とこいつは前までコンビ組んでそう呼ばれていた。そんで、負けたことは指で数えるくらいしかない」
「まぁ、そいつらは全員人外的強さだったがな。そんでたぶん、今回もな」
そう言って前を見ると、さっき吹き飛ばされた男は立ち上がり、
「さすがに、初見じゃ想像できないか」
とこっちを見て言った。




