第三十五話 目的とIKNOWの謎
「なぁ、アカネ」
「ん? どないした?」
俺は貧民街を走りながら、ふと思った。それは、
「なんで、『IKNOW』は俺らのギルドや他のギルドを潰そうとするんだ?」
「え? 邪魔やからちゃうんか?」
「そうなんだろうけど、あいつらだって馬鹿じゃないだろ。周囲の状況だってわかるはずだ。だとすれば、ギルドが潰れたら王国が攻め込んでくることぐらいわかるだろ」
「う~ん、そう言われたら、たしかになぁ」
「・・・・もしかして、伝説・・・」
そう急に言ったのは、コールスだった。俺はコールスの方を見て聞いた。
「『伝説』ってなんだ」
「ん? あぁ、この島出身の奴なら誰もが知っている『四神』の伝説だ」
「お前、あんなの信じているのか?」
俺はそう言ってコールスを細目で見ると、
「いや、すまん。なんか、頭にそれが浮かんでな」
コールスがそう言うと、アカネが
「伝説って何?」
と俺に聞いてきた。
「そうか、アカネはここ出身じゃないもんな。知らないか」
と言って、俺は話を始めた。
「この島には昔から言い伝えがあって、各方角にある洞窟には、四神と呼ばれる神が封印されているんだ。昔、各国で大暴れしたとかで」
「あぁ、たしか、『白虎』、『朱雀』、『玄武』、『青龍』だったけ? 実在するんだ」
「いや、単なる言い伝えだ。ただ、あの洞窟はどこに繋がっているのかわからないんだ。実際、誰一人」
「どうゆうこと?」
「最果てに辿り着いた者はいないから」
そう言って、後ろから急に男が現れた。
「・・・・お前、IKNOWか⁉」
「そうだけど、君達は誰かな?」
バンッ‼
そう男が答えた途端、コールスは発砲した。そして、男は倒れた。
「容赦ないな、お前」
「敵になぜ容赦しないといけない」
「まぁ、そうだが・・・」
俺がそう言った時だった。
「・・・あぁ、死ぬかと思った」
そう言って立ち上がったのだった。コールスが撃って倒れた男が。
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(あの、えっと・・・・)
(サキでいいわよ。あと、ため口でもいい)
ギルド『追い風シルフィン』に助っ人としてきた私は、外に出てスコープを覗き、周囲を見張っていると、ギルド『黄金の大蛇』のフードを被った女の子、コル・ソニアがSCで頭の中に語り掛けてきたためそう返した。
(わかった。んじゃ、僕のこともコルって呼んでね)
(う、うん)
そう苦笑して返すと、コルは
(それで、話しかけた理由なんだけど、『IKNOW』の目的について気になってさ。僕なりに考えてみたんだ。そしたら、さっきの女の人が去り際に気になることを言っていたんだ)
(というと?)
(『目的は達成した』って。僕はその目的が『今回の作戦』の事だとさっきまで思ってたんだけど、どうも違うような気がしてきたんだ)
(ん? その心は?)
(だって、『どの道奇襲は失敗しただろう』って言っていたから。なんでも組織が作った兵器がどうのこうのって。『どの道』とか、『だろう』ってことは、つまり情報を連絡していないってことだよね?)
(・・・つまり、他の目的があったってこと)
(僕はそうなのかなって・・・)
とコルが返した時、私の耳にある振動が届き、
(伏せて‼)
とコルに指示したと同時に遠く、南東の約二キロ先から銃声が聞こえたのだった。




